優しく扱われてる自覚がある
愛しく思われてる自覚がある


なのにそれをもどかしく感じてる俺。
だがこのもどかしさの意味が解らない

解らないまま、俺は行動に出る
「恋人」と言う存在にされたら嫌であろうその行動、行為に明け暮れる。
だがあいつは緩く笑うだけ。
何食わぬ顔でお前の傍らに戻る俺を抱き寄せて
柔らかいキスを送るだけ。



俺は問う


「お前、どうにも思わねぇの?」
「どうにも、とは…どう言う意味で訊いている?ユースタス屋」

特有の笑み
隔たりのある言葉

「だから…」
「『だから』、『例えば』、『こう』する、…か?」

左手の甲で左の頬を薙ぎ倒すように強くはたかれる。
ガツッと強い衝撃鈍い音によろめき膝を付いて、茫然と意思とは関係なしに鼻から滴る血を見た
打たれた頬が熱を持ちジンジンと痛む

「っ…ァ…」
「ユースタス屋…お前はずっと、『こう』されたかったんだろ?」

ギラリと深い色の眼が揺らぎ俺を射抜く
呼吸は浅く心臓がバクバクと五月蠅い
身体が動かず息が上がる

「ち、が…」

否定しようと口がパクパクと動くも声が出ない

「違わないだろ?お前はこうされたかった筈だ、キッド」
「は…ぁ…っ!!」
「なぁ?素直になれよ…罵られたいんだろ?浮気屋だ…淫乱だって」

息苦しくて目の前の男から眼が反らせない。
フフ、と緩んだ口許に息を飲むと先程打たれた頬とは逆の頬を殴打される
衝撃のまま床へと這いつくばると片腕を捩じられ軋む関節を容赦なく踏まれ

ドクドクと身体が脈を打つ

「ずっと、待ってた…キッド」
「ぃ…ァア…ッ!」
「お前から、殴ってくれと懇願されるまで…!」

表現しようのない音と痛みが捩じられていた腕やら肩やらから突き抜ける
同時に圧迫される痛みからは開放され詰まっていた呼吸が楽になる



「気を楽にしている場合じゃないぜ、キッド。悪い子にはお仕置が必要だからな…」
「トラ、ファ…」
「なんだ、キッド?」
「怒ってんのか…?」
「フフ、あぁ…怒ってるよ…」
「そう、か…」



なら、いい…
俺は
俺はトラファルガーから愛されてる
これでいい…あぁ、幸せだ……





隷属の喜び

俺はこれを待っていたんだ。
そう理解するまでに時間はいらなかった
俺はだだ、この身を支配して欲しかった
だから乞おう、愛してもらうための痛みを















構って欲しさに過ちを冒すことがありますよね。
キッドがMだと自覚をしましたが、半分は素質、半分はトラファルガーが仕組みました。
これはトラファルガーの作戦です。
構って欲しさに悪戯をする子を、許し甘やかすことで自らの過ちの罪悪感から後悔させ自分から怒ってくれと懇願してくるその時まで唯唯待つ。
トラファルガーはこう言う駆け引きに時間をかけるのを心底楽むタイプだと思います
ユースタスは初めはそんなつもりはなくても、やっと怒って感情をむき出しにしたトラファルガーに内心安心するし、これが愛情だと植え付けられれば痛みも快感に変わります
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