夕暮れ間近の路地裏で人を待つ。
持て余す暇は俺の大事な想い出を蘇らせた。
それは、中学二年の春だった。
理不尽な恐怖と快楽が忘れられずに俺は今、…フフ




厳格な父親と表立ては淑女のような母親を持つ俺は英才教育だなんだと塾通いの日々
日が長くなったとは言えもう辺りは暗い帰り夜道を1人歩く。
今日は魔が差したんだ
塾の模試では父母も満足してくれる点が取れたしトップクラスはキープしてる、少しくらいの息抜きくらいしたいじゃないかと近所の公園に寄った
昼間の賑やかさと打って変わり静寂に包まれ街灯が煌々とついている。
遊歩道をゆっくり歩きながら、俺は今この世界に1人、特別な存在なんじゃないか。
なんてそんな事を思いふと視線を上げた

「…!?」
「静かにしてろ」

背後から伸びた手に口を塞がれ自分よりも体格の良い男にずるずると引き摺られて行く
急な展開に驚きと恐怖に身が竦んで動くどころか声すら出ず視線を彷徨わせると男の横顔が街灯で青白く照らされているのが見えた

「大人しくしとけ?少しでも早く帰りたきゃ…な」
「は、ぅあ…っ!、…ッ!?」

投げるように砂利の混じる芝生の上に仰向けに転がされると腹に男が跨がり俺の両肩を肩を押さえながら唇を重ねてきた。
唇をヌメヌメと這うのが男の舌だとわかると背筋がゾッとして、やっと全身に拒否反応が起きる
男の舌も威圧感も身体にのしかかる重みもどこかへやりくてジタバタと足を振り上げて抵抗すると唇に強烈な痛みが走った。

「暴れんな…殴り殺されてぇか?」
「ッ…ぐっ…ぅ…っ」
「ハハッ…そうやって大人しく泣いてな」

噛まれた下唇がジンジンと熱を持って痛み増大する恐怖に涙が溢れ情けないことに嗚咽がでた。
ぐずぐず泣く間も男は楽しそうに俺の唇を舐めて口の中にも舌を入れ舐め回し、そのうちベルトを外され引っ張るように持ち上げられた腰からズボンも下着もを下ろされる

「ちゃんと剥けてんなァ…セックスしたことは?」
「…、……」
「口が訊けねぇ訳じゃねぇならさっさと喋れよ」
「…、な…い…ッ」

自慰すら最近覚えたばかりの俺が誰かを相手した事なんてなく上ずる声で答えると男の唇がにんまりと弧を描く。

「妙な見栄を張らなくて賢明だったなァ…」
「…、な…っぅあ、やっ」
「ひょろっちぃ身体…勉強ばっかしてっからだぜ?」

胸元まで捲られた制服のシャツがぐしゃりと皺になり露になる胸元や腹を春の冷たい夜風が撫でて行く。
触っても何も面白く無いだろうに俺の薄っぺらい胸を音を鳴してしゃぶって舐めた。舌が這った後は外気に触れるとすーっと冷えて、それがとても生々しく震えたくもないのに身震いが起きた。

「ふ、っ…う、ぅ……!」
「ふふ…そう怖がるんじゃねェよ…」
「っ…!?」

恐怖で竦むばかりの下肢を長い指に絡めとられ、筒状に軽く握られたその手が上下に動く。
嫌でも反応する下肢が先走りを流し始めるとにちにちと濡れた音が鳴り生理現象とはいえ羞恥で頬に熱が集まった。

「勃ったな…。見ろよお前の出したので手、びしょびしょになったぜ?」
「うぅ…っ…ゃ…めッ…」
「やめねェなぁ…」

裂けそうな程に唇を横に引き笑う男が自らのベルトをガチャガチャ言わせて外してズボンも下着も脱ぐ。他人の勃起したそれなんて見た事もなかった俺は追い討ちをかけて来る恐怖に奥歯をガチガチと鳴した。街頭の光で卑猥にヌラヌラ光る男のそれがぬるりと俺の腹に押しつけられて臍に糸を引いて垂れる先走り…

「ゆるし…っ…やだっ、嫌だッ!」
「るせぇなァ…」
「ッ!ッー…!」
「しー。黙れ…安心しろ、テメェにゃ挿れねぇよ」
「っ…ふ、…?…!?」

汚れた手で口を塞がれ耳元で甘く低く囁く声が興奮で上ずり濡れた吐息を耳に吹き入れてくる。
腹に跨がる男が腰をくねらせたと思うと不意な圧迫感に襲われて目を見開いた。

「ん、ンン…!」
「ぅ、あ…あ……」

ヌゥウ、と狭く滑ったぐにぐに動く肉に自身が包まれてクラクラと目が回る。
見せつけられた開かれた男の脚の間

「う…そだ…ぁ……」

濡れて蠢くそこは体内に溜まった不要物を出す為の…そんな狭い、穴に。俺の………

「なぁ…気持ちイイだろ…?」
「ぅ…っく…」

泣きながら放心する俺の両手を頭の上に一纏めに、無防備に横たわる身体に覆い被さる男が唇を重ねて口内を舐め回しながら楽しげに腰を揺らしくねらせる。
腹の上には男が零した体液が溜まり、喰い締められる自身がどうしようもなく快感に溺れて行く。

「あ"ぁ…ッ!ィ…ぅう!」
「ハァッ…あっ…ふ…」

強制的な快楽に奥歯を噛み締めながら自身を包む肉壁に欲を吐き出した。それでも構わず締め付け蠢く肉壁は男が満足するまで俺を犯し続けた。

「ッ…!あ、んっ…ん!」

ビュッ、ビュッと男自身から数回に分けて飛び出す白濁液が頬や胸、腹にどろりと落ちる。
湿った土の匂いと夜風にざわめく木々の煩さが悪夢の終わりを告げたような気がした



そんな、悪夢が終わった後…身形を整える男から逃げるように竦む身体に鞭を打って走った。
頬に纏わりつく汗と男の体液を袖何度も拭いながら乱れた衣服を気にする暇もなく走って走って、家に飛び込んだ。
真っ暗で夜だと言うのに誰も居ない冷めた家。

「………」

冷えた汗が顎からぽたりと落ちる。
心臓は燃えるように熱い…乱れる息、深呼吸すると気管が冷たく痛む。

「……ふふ…。」

ゆっくりと脚を引きずり自室へと向かった。手探りで電気を点け眩しさに眩む目で姿見に映る自分を見た。
制服が体液と枯れ葉や砂埃で薄汚れて、赤みの差す目に汗みどろの自分の顔…

「っ…ふふ…フフ……!」

帰ってきた仮面を被った両親の前にこの格好のまま出迎えに行った。「おかえり」と笑って出迎えたら尋問と罵倒を飛ばされ汚わしいと風呂場に連れ込まれ冷水を浴びせられた。
寒さで奥歯をガチガチ鳴らしながら俺は目の前の醜い男と女を見上げる。

あぁ、悪夢なんて、ずっと前から見てるじゃねェか…

そう、気が付いた時。
初めて世界が変わった気がした。




「フフ…」

数年後。ずっとずっと探していた影を漸く見つけた。
目を閉じれば理不尽な恐怖と快楽に取り付かれ、気の狂いそうな夜を過ごして来た…そんな夜も、きっと今日で終わる……

「探したよ…街を移ってたなんて、余計に手間取った」
「誰だ…テメェ」
「フフ…勉強ばかりしてた、詰まらねぇガキの1人だよ」

夕暮れの路地裏。
ただ一つのヒントを頼りに俺は何年も何年も追い続けた。俺の事をただの一つも覚えていない男に俺は何も思わなかった。
ただ、俺は知ってる…男の事を、アンタのことを。

「片時も忘れたことはなかった…」

一歩近寄ると後退りする男に、構わず寄っていく。
先ずはあの赤い髪を舐めて含んで飲み込んでみようか。





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