この匂い、好きだ…






『彼女はいない』







「……?」

身動ぎすると顔から何か落ちた。
タオル…しかも濡れてる

「よー、起きたか?」
「ユースタス屋…?」
「起きたならさっさと退け」
「うお…、わっ悪い」

目を覚ますと目の前にユースタス屋がいた。
と、いうか俺はユースタス屋の膝を枕にしていた
慌てて身を起こして俺はなにをしてたのかと必死で思い返す

「お前寝汚ぇなぁ…全然起きなかったぜ?」
「えっと…」


あぁ、そう言えばうどん食いながら鼻血出したんだっけか…
その後ユースタスにされるがまま鼻とか冷やして…る内に寝ちまったんだな。
うん、わかった自己解決した
だが…


「…なんで膝枕?」
「……テメェが乗って来たんだ」





『おいトラファルガー』
『ん〜』
『寝るんなら部屋に帰れ。邪魔だ』
『ん〜』
『(イラッ)ったく…おい』
『ユースタス…』
『あ?うおっ』
『…すー…』
『…』




「お前は揺すっても叩いても抓っても起きなかった」
「…悪かった。…だがそこまでする必要あるか?俺が可哀相だろ」
「1時間近く野郎に膝枕するハメになった俺のが可哀相だ」


はぁ、と溜め息をついて俺を見るユースタス屋が俺に向かって腕を伸ばしてくる

「しかし、お前のクマすげぇな…寝てねぇのか?」
「……っ…あー…えと、体質っつーか…そんな感じだ」
「ふーん?」
「あ、の?ユースタスや…イタタダダダ!ちょっなんで摘む?!」
「イラッとしたから」
「酷過ぎる!」

ユースタス屋の色白な手が、指先が頬に触れたと思ったら多分全力で頬を抓られた。
加減とか学校で習わなかったのかユースタス屋!

「…ん、どうしたユースタス屋」
「…なんでもねぇよ」
「あ。」
「……」
「フフ、ユースタス屋…」
「ちょっ…なんだ、おまっ」
「フフ…フフフ…」
「気色悪ぃ笑い方すんな!あっ…!ン、ばか!触んじゃっ…ッ!…うっ」
「この辺か、ユースタス屋…」
「〜!このっ…テメェのせいだろうが!」


バチン!と後頭部に平手が入った。
ユースタス屋は、本当に小学校で加減することを先生に教えてもらわなかったらしい…
思いの他重い平手に脳がぐわんぐわん波打っている。
これはきっと目から星が出たに違いない。何処だ俺のお星様…


「くそ…まだ痺れてやがる…」

俺を全力で叩いたユースタス屋は苦そうな顔つきで足を擦る
どうやら俺の頭が乗っていた足が痺れているらしい。正座なんかした時と一緒だな。
さっき思い切り突っ突き回してやったが、良い反応だったぞユースタス屋


「テメェを殴った手も痛てぇ…」
「殴るからだろ。撫でてくれればいいのに」
「なんで撫でるんだよ気持ち悪ィな…大丈夫か?お前さっきからキモチワルイぞ」
「失礼だな」

なんだかいらん心配をされた。

「ったく、お前がいるとろくなことねぇ…」
「なんだ人を疫病神のように」
「お前が越して来てから俺の面倒事がい著しく増えた」
「う…それは…いや、そもそもユースタス屋がお人好しなんだと思うが」
「テメェが言うな!部屋に乗り込んで来るくせに」
「世話になってるなユースタス屋。これからも世話をかける」
「かけるんじゃねーよ!自分でどうにかしろっ」

パシッとまた後頭部を叩かれた。
だが先程よりかなり手加減がされている
なるほど、加減なく素手で打つと自身も痛い事がわかったんだな。
身を持って学習とは偉いぞユースタス屋

「ったく…休日が勿体ねぇ」
「そう言えばユースタス屋」

「なんだよ…つーかまだお前ここにいる気かよ。帰れよ」
「(無視)彼女とかいねぇの?」
「聞けよ…ああ?…いねぇ。」
「…淋しい男だなユースタス屋」
「るせぇな…」

煩わしそうに返事をして傍らの雑誌を開くユースタス屋。
彼女いねぇのか…モテそうだけどな

「ユースタス屋」
「…なに」
「ケイタイ貸して」


そこ、と顎で示された卓上の充電器に置かれたケイタイ。俺はそれに自分のアドレスやらを登録してついでにユースタス屋のアドレスも自分のケイタイに登録した
約1週間目にしてアドレスゲット




「ユースタス屋、俺も彼女いないぞ」

ああ、そ
生返事を聞きながらユースタス屋の部屋を後にする

1週間程度で俺の心を奪ったユースタス屋。
好きだと言える日は来るのだろうか

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