流されるまま。
それが心地よかった
だから、そう。自分勝手な言い方をすると
いつも通りお前らしくしてりゃ良かったんだ



おれはトラファルガーが甘えたいなら面倒臭いが甘やかしてやるし、面倒も見てやる。勿論、親代りとか兄弟みたいなノリとかじゃなくて…友人とも、違う
ならもうそれは、なんて急かせばすぐに出るような答えをおれはいつまでも出し切れなくて。
…そうと言うのも、あいつのあのしおらしい態度がいけねぇ

「お前は色々考え過ぎだ」
「…うるせぇ」

お好み焼き屋から直接その足でキラーのとこに乗り込んだ。
仕事だったキラーから鍵を取り先にキラーの部屋で待つ間中同じ事をぐるぐる考えてたら腹が立ってきたが自覚した事もあって
日が落ちてから帰宅したキラーに管を巻くと適当な相槌を打ち妙に笑いながら聞いていた

あの日の朝、覚えてもないキスに対して後悔と他にもいろいろ混じったような顔でおれの様子を伺いながら謝って来たトラファルガーに苛立った。
苛立ちの理由はキスをされた事に対してではなく
覚えていない事に対して、それからあの後悔したような表情と態度にだ。

なんでか、裏切られたように感じて気分が悪かった
覚えていないなりにあいつがいつもの調子で「おれとのキスどうだった?」くらいのことをいつものようにへらへらしながら言ったなら少しは気分が違ったかもしれない。

「それで拗ねたのか」
「…拗ねてねぇ」
「そうか?まぁ、それでもだ…親代りや兄弟のノリじゃないことぐらい理解してただろ?おれはトラファルガーに初めて会った時にわかったぞ?」
「なっ…」
「トラファルガーも相当もやもやしたんだろうな…不本意だが可哀相だ」

鈍いぞ、と呆れられムッ顔をしかめると声に出して笑われた

「しかし、言ってくれるな…おれとお前のような関係、か」
「……」
「今更、お前が気付いた通りに」
「今更って言うんじゃねーよ」
「おれはお前が好きだが…意味合いはまったく別だ。お前にキスしても昔程嬉しくはなかった」
「…昔ってガキん頃かよ」
「あの頃からだぞ?おれがお前を想っていたのは。…だが、今は罪悪感ばかりだな」
「罪悪感?」
「弟や息子とキスしたようななんとも言えない背徳感を味わった」
「どっちもいねぇだろテメェ…!」
「まぁな。まぁ…だから、今更お前がおれのことを気にする必要はない。おれもお前に意識されても困るだけだ」
「今更今更って棘があんぞコラ」
「気の所為だろ」

そう涼しい顔をして立ち上がるキラーを見上げればヘルメットを放られた

「送ってやる。今頃腹を空かせて待ってるんじゃないか?」




いつもなら気にならない階段を登る足音が気になった。4階に上がると知らず知らずに忍び足になる自分が嫌でわざと音を鳴して歩く
トラファルガーの部屋の前を過ぎて自分の部屋の鍵穴に鍵を差しながらチラリと隣りのドアに視線を移した時だった。ドアのぶを握り損ねたような引っ掛かったような派手な音を鳴して勢いよくドアが開く。

「っ…ユースタス屋…!」

それと同時に身体半分飛び出したトラファルガーは少し情けない顔をしていた

「……」
「…鍵締めて来いよ…飯炊けるまで時間かかるぞ。それからその情けねぇ顔洗って来い」



米を早炊きにセットして、有り合わせで炒め物と味噌汁を作った。居心地悪そうにして待ってるトラファルガーを見て、笑いそうになったことは後で教えてやることにしよう

「トラファルガー」
「なんだ…?」
「味噌汁作ったぞ」
「…え?」
「食わねぇか?」
「…!食うっ…」

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