出会いはそう俺が18歳で君が4歳の時

叔父に中るあの男に呼ばれ、バイトと称された雑用を押しつけられていたこの日。高校三年の夏休みが如何なるものか分かってんのだろうかと食って掛かりたかったが別に俺は根を詰めて勉強しなきゃならない程ではないしそんな気もなかったので、ちらつかされたバイト料に釣られる形でこうして引き受けてしまったのだ。
まぁ、事務所はクーラーも効いて快適だし茶菓子も出るし文句はねぇけど。
そんなことを思いつつ多量の伝票処理をしていると突然ドアが開いた。

「ドフラっ」

高い、舌足らずな声が聞こえドア方向を見るが姿は見えず、バタリと締まるドアに続きたとたとたと…と軽い足音が鳴る。

「…なんだ?」

姿が見えないことに驚き思わず席を立つと、真っ赤なくせっ毛がふわつきながら並んだ長机の向こうを走った。

「…うわっ!?」
「……ガキ?」

俺に気付いたらしい赤い癖毛のガキは驚き飛び上がった。
失礼な奴だと思いながらなんでこんな所にこんなちまいのが入り込んだのかと不思議になる。しかもドフラとか言わなかったか、今

「お前…」
「ドフラはっ?」
「…ドフラってドフラミンゴか?」
「おうっ」
「ここにゃいないぜ。つーかお前どっから来た?誰かに止められなかったのか?」

この部屋は一応専務室だからここに来るには他の社員の目に付くはずだし、先ず受付の奴が普通止めるだろう。

「なんだいねぇのか…。? そとからにきまってるだろっじゃあワニはっ?」
「ワニ?…あぁ、クロコダイルか?」
「そう!」

ドフラミンゴの次はクロコダイル…?本当になんだこのガキは。

「クロコダイルは…」
「トラファルガー!」

バンッ!と勢い良く開いたドアの音にガキと同じタイミングで振り向く。

「ここにガキが…」
「ワニ!」
「キッド!テメェまた勝手に会社に来やがって」
「……」

慌てた顔したクロコダイルが駆け込んで来たと思えばどうやらガキを探していたらしく、その姿を捕らえた途端にあからさまにほっと安堵の顔付きになった。

「ワニって呼ぶんじゃねェ」
「オヤジっ」
「……、はぁ。勝手に来るなって言ってんだろうが…何度言やわかんだお前は」

言いたい小言を全て飲み込んだのだろうクロコダイルは深い溜め息を吐き、そして足元のガキを抱き上げた。
ひっしとクロコダイル抱き付くガキは生意気そうな目元と口許を綻ばせて笑い、クロコダイルもまた柔らかい手つきでガキの髪を撫でる
なんだこのハートフルな画は。

「おい、クロコダイル」
「ああ?」
「説明しろ」

見て居るこっちが妙にむず痒い。そして疎外感を感じれずにはいられない空気にいい加減に焦れる。

「そのガキはなんだ?」
「…俺の倅だ」
「は?」
「息子」




・・・

「ウチが支援してる孤児院があるだろ。そこで去年、引き取った」

火の付いていない葉巻を咥えたクロコダイルが膝に例のガキを抱いて何ともなさげに説明をした。

「あんたがか?」
「文句でもあるか」

"ガラじゃねェだろ"と言う言葉は飲み込んだ。ガキの頭をくしゃりと撫でるクロコダイルの顔もそれに嬉しそうに甘えるのも本物過ぎて、俺は苦笑と一緒に一つ溜め息をついた。

「しかし…随分毛色の違うのを選んだな」
「クハハ。犬猫のように言うんじゃねェ…。」





………
これは連載しようとしていた時に、書いていたものです。
ですが、ご覧の通り頓挫してます。
単に連載していく気力的な問題でした。ツイッターでしゃべってしまったために満足して話にしようという気がなくなってしまいました。
タイトルは出会った時のロキドの年齢…なので、先日公開した(我儘言ってよ王子様 エロ注意)中学生キッドくんは13〜15歳。ローは27〜29歳あたりになります。
連載しようと思っていたときは、俺が○歳で君が○歳、という風に年を重ねていき、その時々の主な出来事を書くつもりでいました。
キッドが24の時にはローは38歳。老眼デビューのお年頃です。徐々に手元の新聞が遠ざかるようになってきます。こういう話を書きたかったのだけど…!そのうち短編で処理しようと目論み中です。
いい機会なので蛇の足をお見せいたしました。でも、一番の頓挫理由は鰐と桃鳥と鷹の目、親父'sの口調がわからなかったから、なんてことだったりする。

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