ピンクの蓑虫

寒さに弱いキッド。中坊キッドくん幼少期。キッドくん(4)が寒くてなんか被るのねーかなーってきょろきょろ。あ、いいのめっけとばかりにドぴんくのふわもこジャケットを拝借します。
「ー?どこやった…ああ、あったあった」とドフラミンゴ。なぜかリビングのラグの上にありました。掴んで持ち上げ…おや?
「あ!」
「おっと、失礼」
「もーっ」
せっかくあったかくしてたのに。とキッドの不満げな声が上がりました。ドフラミンゴも思わず掛けなおしてしまうほど。
「フッフッフ…キッド…困るぜ。返してくれよ」
「いやー」
「おれの一張羅だぜェ?」
「ふふふ〜」
もぞもぞ。ぴんくの塊が楽しそうにずりずりとリビングを徘徊します。
自分のピンクのジャケットながら、なにこれ可愛い。無理やり取り上げることも出来るけど…あー、もういいや。

その日。
鰐が肩首をゴキゴキ鳴らしながら帰宅しリビングに行くと
「わぁに!」
「‥!!?」
見慣れたピンクがもそそそそ。と足元に這いよってきて流石の鰐も背筋をぞわぞわさせながらびっくりしました。
見覚えのあるピンク…もぞり。また動きました
「…」「わにぃ」
しかもしゃべるぞこのピンク…と、聞き慣れた声でした。
「お前か…」
ひょい、とつまみ上げてみるとその下から我が息子が。
「おかえんなさいっ」
「ああ…ただいま」
「それかえしてっ」
「返して…って、ドフラミンゴのだろ」
「もらった!」
「あげてねェだろ。嘘くつんじゃねーよ」
フッフッフ、と笑いながらドフラミンゴがピンクごとキッドを抱き上げソファーにどさっと座ります。
「ちょうだいっ?」
「やだね」
「むーっ」
「お。不細工だなァ!」
ムニィとキッドのほっぺを潰しながらドフラミンゴはじゃれ合います。
「わにっこれほしい!」
「止めとけ。そんなもん趣味が悪ィ」
「年がら年中黒ばっか着てるやつに言われたかあねぇなァおれもよォ」
バチバチと鰐と桃鳥がにらみ合う中、キッドはピンクももふもふが欲しい欲しいと強請り続け、その夜は更けて行きました。

「キッド!テメェ埃だらけにしやがって!」
翌日は鰐の毛皮のコートが狙われ、モップが事くフローリングを這った結果、黒い光沢が白っぽく、細かいごみもまんべんなく毛に絡み付いていました。
まぁ、鰐のことだから買い換えればすむ話だけど、別に高級毛皮の一着や二着買うのを渋ることもないけど。会社行く前にされるのはさすがにな(笑)
ほかのコートもあるんだけど、それ着るって決めてるやつを台無しにされたら予定も狂っちまうよ。
こんな調子で、価値を知らない無垢なキッドに鰐もドフラもいろいろと台無しにされてたらいい。そして、もうクリーニングに出すのも面倒だと鰐はコートをキッドにあげちゃって、キッドはそのコートを涎まみれにさせ、ほこりまみれにさせ、ジュースを零し、お菓子を食べた手で触りつくしてというその辺の成金や小金持ち真っ青な暴挙を無邪気にやってのけます。
ローも、鰐のコートできゃっきゃと遊ぶキッドをみて「わー…」と思えばいい。

そうだよな…鰐の上等なスーツなんかも、キッドがお菓子食べたベトベトの手で触ったり、抱っこして襟や肩口に涙とか鼻水とかつけるんだよなぁ。それを許すんだよな…価値観の違いだね。子供がやることだし、汚れるからって息子を抱っこしないわけないし。
鼻垂らしたキッドみて、胸元のハンカチとかで拭いてやるんだろうな。

え、ああ…あれか…。公園で砂遊びとかは想像つかないけど、自宅の庭に砂場とブランコくらいは作れるか。日曜日にキッドをブランコで遊ばせる、整髪料なしで無造作に髪を掻きあげているだけの鰐(若返って見える)が…。
成長していくにつれ、自転車乗る練習させたり、一輪車とか、縄跳びとか………。
幼保の親御参加とか…愛されキッドくん。年間行事考えると毎日が幸せだ。そろそろ運動会の季節ですね。


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