緑のカーテン


きっと鰐の建てた家だし、抜かりなく断熱やら、そう言うのしてあるだろう。
窓とかも紫外線対策や熱や冷気を通さない仕様とかだろう。
でも、なんかちゃんと庭師とかいれてさ、緑のカーテン蔦とか這わせてやってそう。野暮ったくないように、お洒落に。
でも、キッドがTVとかでゴーヤカーテンとかしてるの見てあれが良い!とか言い出さないかな。リビングの広い窓にあれやって!って鰐にねだってくれないだろうか。小2、3ならゴーヤの成長絵日記にするから!おねがいって。
朝顔とか別なのにしとけって言うのにゴーヤが良いんだと頑なに譲らない。
あれピーマンより苦いんだぞ、お前絶対食えない、って言うのにおれピーマン食べれるもん(キッドくんは珍しくピーマン食べれる。生魚は食べたくない。焼き魚は切身か、身をほぐしてくれたら食べる。豆腐はプリンみたいな方(絹ごし)しかたべない) て言う。
ドフラが、良いじゃねぇかゴーヤくらいつくってやれよ〜とキッドの味方になる。
でも、生活感のないお洒落嗜好のある鰐は渋る…が、結局折れ。
ゴーヤを植える。なんだかんだで休日はハウスキーパーなども呼んでいないので、ラジオ体操おわったキッドと一緒に庭の草木に水やり。
ゴーヤの成長を見守る。すくすく育つゴーヤ…。ローはゴーヤ植えた話を聞いてなかったので鰐の家にくるたびに、何に植え替えたのだろう?と思っていたけど、ある日。
キッドが、周りに♪でも飛ばしてそうなくらいご機嫌で庭にでて窓にかかるように作られた網棚に這う蔓を見てるので、ローも部屋の内側から見てみる。ん?なんか、成ってる…。え、ゴーヤ?流石に葉っぱ見ただけでは何を植えたかわからないローは、はじめてゴーヤを育てていたのを知りました。
こんな立派な家で、大企業の社長の…あの鰐が…ローの臍で茶が沸きそうです。
すくすくすくすく。ゴーヤも大きく育ち、ついにはじめての収穫。キッドは幼稚園児だか保育園だかで芋掘りくらいは体験してるといいね。
何故か、親父たち3人が揃いも揃い、ローまで見守る中、収穫が行われるといい。
大きいのがキッドには少し届かないとこに成ってて、鰐が抱っこしてあげたらいいよね。
ぷちん、と鋏で切って立派なのを収穫出来ました。わーい、と笑うキッドに保護者の頬も緩みっぱなし。
この日の夕飯には、ゴーヤが登場するのですが案の定キッドには苦味が強くて駄目でした。
苦くてべー、しちゃったキッドにほらな、とため息の鰐。親父たちはゴーヤでお酒を楽しみつつ。
キッドは本当にうすーく切って、梅で和えたり味の強いものと炒めたりしなきゃなかなか食べれないかもね。でも食べようって挑戦は一時する。
そう、一時。子供の飽きっぽさ…嘗めたらあかん。
ゴーヤの水やりや手入れも半ばは飽きてハウスキーパーや鰐、たまにドフラが気紛れに見てました。
キッドは最初と収穫間際に「まだ?明日?いつ?」とウキウキしだしたくらいで。
収穫も楽しかったけど…日増に収穫できるようになるので飽きる。しかも結構、たくさんできる。飽きる。

ドフラの差し金で、終業時間狙ってキッドにゴーヤの売り子さんさせたりしないかな…。売り子と言っても出来すぎたゴーヤのお裾分け。受付や社員たちがキッドから手渡しでゴーヤもらえるよ。もらえなかった人もいて残念がるよ。
その、残念がる社員を見て、どうした?と問う鰐。
「社員。いやぁ立派なゴーヤ作ったそうで…息子さんがお裾分けで配ったそうじゃないですか。おれ一歩遅くてもらいそびれましたよーゴーヤ好きなんで残念だなぁ」
「なっ…んだと…」
そんなことしてたなんて知りもしなかった鰐。もう良い歳だがそれを感じさせない走りで社員の横を過ぎていく。

キッドくんの運命やいかに…。

鰐ってこう…田舎臭いの嫌いそうで。野菜のお裾分けとかなんかおれのイメージじゃないとかなんだとか。
ドフラは割りと似合いそうだけどな…スーパーのレジ袋にゴーヤ入れて、目についた部下にゴーヤいるかぁ?なんつって。
ドフラはスイカとか引っ提げてんのもしっくりきます。


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