雨に濡れましょう


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短編レイニーエイドの没話
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一緒に過ごすようになって分かったこと、気付いたことがある
奴自身がそれを自覚してるのかしてないのかは知らないが…。


例えば雨が降る日、日によって二通りのトラファルガーを見た。

「少し出ようぜ」と外に遊びに出たがる日

雨が落ちるのをジトッとした目で眺めている日


前者が機嫌が悪く後者がすこぶる機嫌の良い日だ。
初めの頃は雨の日に外に出たがるなんて珍しい奴だと思ったし、そんな奴が雨の日に憂鬱そうに閉じこもってるのを見れば今日は機嫌が悪いんだろうくらいにしか思えなかった

でも、それが違うと言う事に気付いたのはぼーっとしてるトラファルガーに話し掛けてみたある日の事だった

「何ぼーっとしてんだよ」
「?、ぼーっとしてたか?」

普段通りに返すトラファルガーに疑問を持つ
"普段通り"そう、トラファルガーは普段通りだった。
普段から晴れても曇っても、怒られようが何があろうが。
この男はこの通り余裕そうに構えているのが普通で

「ユースタス屋、ゲーセン行こうぜ。それか駅んとこに出来た店に―…」

なんて、おれの返事も待たずにまくし立てるように早口に喋るトラファルガーの方が、気付いてみたらよっぽど変だ。

だから今日は機嫌が余り良くない日。

「ユースタス、」
「なァ、トラファルガー」
「…なんだ」

雨音が嫌いなら、音楽でも流して
曇り空が嫌ならカーテンを閉めて
雨の匂いが嫌いなら香でも焚いて
湿った空気が嫌ならもっと湿度をあげたらいい


舐めて湿らせた唇を押し付けて。

「傘さすの面倒くせぇから濡れようぜ…?」

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