誰も彼も愛しい持病を抱えてる


*茶番劇





恋とか愛とか理解らねぇ。

そう、シャチに言ったらシャチはいきなり立ち上がって窓から身を乗り出し空を見上げた。
「…なにしてんだ」
「や。天変地異が起きる気がして」
「そうか…で?起きそうか?」
「いやまったく…あ、救急車呼びます?」
「至って快調だ。必要はねェ」
茶番。閑話休題
「恋ってのはー、…例えば胸の高鳴りだとか、相手のことで胸一杯で飯も喉を通らねぇとか」
「動悸に食欲不振か」
「愛は…んー。甘い言葉が欲しくなったり言いたくなったり、相手しか見えなくなったり」
「甘いモンの取り過ぎで糖尿か?目にきたってことは手遅れだな。恋も愛も病気じゃねぇか。人間の脳の誤作動だ」
「捻くれてんなぁ、しかし…この世には良い言葉があるんすよ」
「ほう?」
「"恋患い"先人は良く言ったモンっすよね。恋を患う。あんたもその疾患を抱えた一人だ」
「俺が?」
「ここは一つ…問診といきましょう」
ピッ、と人差し指を立てシャチはニタニタと口許を歪ませた。


「食欲不振は元より、普段からそんなに飯を食わねぇあんたが、最近良く菓子パンやらを食ってるっすよね」
「それがどうした。不振でなけりゃ結構なことじゃねェか」
「結構すよ?病も人それぞれ、逆に食欲が出たり、好きな相手に合わせたくて無意識に…ってこともある」
「…」
「どっちにせよ、食が変わったってことっすよね」
「…それだけだ」
「寝付きが悪い、眠りが浅い…これもあんたは逆だ。たまにすげぇスッキリした顔の時がある」
「…、……」
「居心地の良い場所が見つかったんすかね?」
「るせぇ」
「とまぁ…埒があかねぇんで、ここらで。あんたは恋を患ったら健康になって事がわかりました」
「なんだ、そりゃ」
「恋っすよ、恋。変革をもたらす病…自覚症状は…やっぱり動悸息切れです」


「シャチ」
「はいはい」
「アイツと居ると胸が苦しいんだ。心臓がうるせぇ」
「へぇ」
「アイツと食う飯がうめぇ」
「よかったっすね」
「アイツと居るとついうっかり眠くなる。目が覚めてアイツが居ると何故か嬉しいんだ」
「それはそれは」
「人に抱き付きたくなる病ってのはあんのか?」

「それが恋ですよ」




(効く薬はねぇのか?)
(馬鹿と恋煩いは如何ともしがたく。どちらも周りや相手からの優しさと愛情が良い薬です)



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なんだこりゃ


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テーマ「人外ファンタジー」
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