隣人にはご注意



「こんにちは」
「…こん、にちは……?」

土曜の午後ベランダにでたら目が合った。
隣りの小学生くん。
母子家庭のそこん家はどうやら母親は仕事、ガキは留守番中らしい。
挨拶をすると少し驚いた様子を見せながらも挨拶を返して来た。

「洗濯もん今干したのか?」
「ううん。雨ふりそうだから中に入れてって電話きた」

パチパチと洗濯挟みを外しながら選択籠に放る手つきを見る。
『きかんタレ』が多忙の母の"お手伝い"ね…。

「偉いな」
「…フツーだし」

取り込み終った洗濯を籠ごと引摺り部屋に戻るのを見届ける。
これが、最初。




「おかえり」
「ただいまー」

暫くして、あれからよく顔を合わせるようになった。学校帰りのランドセル背負った後ろ姿に声を掛ける。
振り返って、俺のみぞおち辺りから見上げてなれた様子で返事が来た。

「転んだのか?」
「サッカーしてた。ボール蹴ろうとしたら敵のヤツに押されたんだ!」

それで腹が立っているのかムッと顔をしかめた。
笑って返しながら治療してやろうかと聞く。
別に要らない、と首を振るが「ふぅん」と

「でも、母ちゃんまだなんだろ?早くちゃんと消毒しねぇと…」
「…?」
「バイキンが入って、どろどろに腐って足が無くなっちゃうかもしれねぇなァ?」

そしたらずっとケンケンしなきゃだ、と片足で飛び跳ねる真似をしてみせるときかんタレの小生意気な顔が青褪める。

「フフ…出来るだけ痛くねぇようにしてやるから、おいで」

初めて家に招いた。作りが同じの隣の部屋が物珍しいのかキョロキョロと視線が動く。

「…あ」
「どうした?」
「くつ箱、おれン家と逆だ!」

本人には凄い発見だったらしく目を輝かせていた。
おれもそれは知らなかったので少し「へぇ」と思った。

「それよりほら…ランドセルその辺に置いてこっちに来い。泥落として綺麗にすんぞ」
「んー」

ドサッと乱暴にランドセルを置き軽い足音をさせて近寄って来る。

「靴下脱げよ。風呂場で洗おう」
「おれン家とちょっとだけ違うなー」

立ったまま靴下を引っ張って脱ぎ、ランドセルの近くに脱ぎ散らかす。
浴室に入れると弱目のシャワーを流した。

「ズボンの裾持ち上げとけ」
「しみる…?」
「さぁ?男なら我慢するんだな」

短パンの裾は膝より上にあるが、注意を促す。
すると大雑把に裾を掴んで太腿の真ん中寄り上まで引き上げた。
未発達の棒切れとは言わないまでもそれなりの肉と筋肉しかないすらりとした太腿が見えた。
小さな膝に、細い脛。頼りないふくらはぎにキュッと締まったアキレス腱。
それらを眺め流れる膝下にシャワーを掛けてやる。
しみるのを恐れてか難しい顔をしながら傷口を見る…ああ、そう言えば。

「そう言えば名前を聞いてなかったな。隣りだから…ユースタスさんだよな。ユースタス、なんて名前なんだ?」
「なんでユースタスなのは知ってんだ!?」
「なんでって…表札に書いてあるだろう」
「あ、そっか!名前はキッドだっ」
「キッド、な。じゃあおれの名前…苗字はなんでしょうか?」
「んん。母ちゃんから聞いたことある、えっと…と、トラ…トラトラ…トラがる」
「トラファルガー、だ。トラファルガー・ロー」
「トラガ…ふぁるがー……ロー!ローなっ」
「お前…簡単な方覚えただけだろ…」

流水で落ちない泥は、その素肌に触れて優しく擦りながら落してやる。
直ぐに綺麗になり、少し残念だがシャワーを止めて足を拭いてやった。

「砂利も入ってないし、消毒もしたからもう大丈夫だ。お疲れさん」
「ありがと!」

風呂場から出るとソファに座らせて傷の消毒をしてやった。大袈裟に脅したがただの擦り傷だ。
綺麗に洗えば消毒も要らないような放っておいても差し支えないような傷。
しかし、膝小僧に鼻先まで寄せて観察したあとにじっくりと消毒してやった。絆創膏は膝小僧に似合いそうだったのでおまけに付けてやった。



「おかえり」
「ただいま!」

だいぶ彼と打ち解けた。帰りに居合わせたエントランスでエレベーターを待っていたおれの元にパタパタと駆け寄ってくる。

「そう言えば、ロー見るの久し振りだ」
「そうだな。仕事で帰りが遅かったから会わなかったんだろ」
「仕事?」
「そ。俺はお医者さんだぞ?」
「えー!ウソだ〜」
「なんで嘘だァ?本当だぞ。フフ…証拠を見せようか?」
「うん!」

エレベーターを降りて「おいで」と手を差し出すと簡単に握り返してきた。他意はなく、彼は反射的に差し出された手を掴んだだけだ。

「んー。オレンジジュースしかねぇけど、まぁこれでも飲んで待ってろよ」
「ありがとうっ」

さっそくグラスを手に取るのを見ながら、寝室へ行き着替える。
新しい白衣を下ろそうと思っていたから丁度良い。

「キッド」
「ん?…あ!」

白衣を来て出て行くと、白衣だけで果たして万人に通用するかはわからないが彼の場合は医者であることの証明になったらしい。
本物のイシャだ、と指を刺された。

「すげーっ」
「そりゃどうも」
「しゅじゅちゅもすんのか?!」
「手術もするぞ?今日も手術をしてきたところだ」
「うわぁ!」

興奮ぎみに見上げて来る彼の前に屈み、丸みを帯びた頬にそっと触れてみる。
しっとりと掌に吸い付いてくる柔肌と高い体温がじんわりと伝わってきた。

「顔が赤いな。汗も掻いてる…どうした?」
「?そうだっけ…でも、部屋あついかも」

首を傾げながら自分の頬に触れ不思議そうにする。
オレンジジュースを入れてやったグラスの中身は程んど飲み干されていた。

「こっちにきてごらん」
「?」「今日はそんな暑い日じゃない…それにそんなにほっぺた赤いなんて普通じゃないぞ。気分は悪くないか?」
「んん?わかんない…ちょっとあついだけで、なんともな…」
「本当に?季節の変わり目だしな、少し心配だ」

薄い肩や、背中、首元に手を滑らせて身体の線をなぞった。
その内に小さな胸や肩を大きく上下させた間隔の長い呼吸になってくる。
これはアルコールで開いた血管が鼻腔を圧迫し鼻の通りが悪く呼吸がし辛いからだ。

「…はぁ…、?あれ…」
「熱を計ってみようか、キッド」

オレンジジュースにカシスリキュールを少しだけ交ぜた。
いくら子供とは言えこの量では一時の間少しふわふわする程度だろう。

「はい、熱を計ろうな」
「わっ…な、なに…?」

両脇の下に手を差し込んで抱き上げる。腕だけで支えるにはそれなりに重いが、直ぐに膝の上に抱いてしまえば心地よい重みとして愛しさが湧いた。
組んだ太腿に跨ぐように腰掛けた小さいが弾力のある尻の谷間がジーンズ越しに分かる。胸元に手を突いて不思議そうを通り越して困惑した顔が見上げていた。

「ちょっと我慢な」
「なに?わっ!」

腰に添えていた手をズボンと下着の中に潜り込ませて尻の谷間に直に指を這わせる。
慌ててズボンを押さえ、腰を引く彼は怯えを含ませた目を向けた。

「大人しくしてろ。熱を計るんだからな」
「だ、だって…ねつ、ワキにはさむだけ…!」
「ああ…でもこっちで計ろう」

強引に下着諸共ずりさげて、真っ白な尻を晒す。膝の上でじたばたと暴れるが、太腿は下げたズボンが絡まり動きが悪く上半身は片腕で抱きすくめてしまえばそれでいい。
小さな背中を摩り、あやす様に身体を揺らしながら肛門の周りを撫でる。おれの胸元に顔を押し付けてぐずぐずと文句を言っているのを聞き流しながら、で揺れる髪に鼻先を寄せる。ガキ特有のどこか乳臭く汗の交る匂いを感じた。

「やだ!ローっはなせっ!はなせバカ!」
「暴れるな…すっげぇ痛い注射されたいか?」
「ひっ!?」

唾液で濡した中指を尻の窄まりに擦り付ける。
驚いたのかギュッと窄まりが強くなり尻に力が入った。

「ンーッ」
「ああ…キッド、すごくドキドキしてるな?身体の調子が悪そうだ」

きっと未知の恐怖で高鳴っているだろう鼓動が、寄りかかる胸元や背中を撫でる手に伝わってくる。
白々しく不調の所為にして、脇に手を差し込んで抱き上げるとソファに寝かせる。おしめを替えるように尻が浮くほど両足を上げさせた格好を上から見下ろした。

「あう…っ」
「さ…服を捲るぞ?胸の音を聞かせてくれ」
「…ふぇ…?」
「お医者さんが首にかけてる道具でおっぱいの音を聞くだろ?今日は病院に置いてきちまったから使えねェけどな…」

服を胸の上まで捲り、真っ平らな胸を晒させる。真っ白な肌に、淡い色をした小さな飾り。左側の乳首を親指で摩りつつ、直接胸板に耳を押し付けた。ドッドッド…と可哀想なくらい早鐘を打つ心臓と、苦しげに忙しなく上下する胸。

「あーあ…熱もあるし、こんだけドキドキしてたら大変だ。病院に行った方がいいかもしれないな

「えッ!?やだっヤダァ!」
「でも放っておいたら大変なことになるぞ…?」
「やぁだぁ…!」
「フフ…でも、まずはちゃんと熱を測ろう。ちょっとヘンな感じはするだろうが、痛くはしねぇからじっとしとくんだぞ」
「やだっ…はなせっ」
「暴れない暴れない…暴れたら痛い思いするぜ?」

先に言ったように、熱を測るために体温計を片手で取り出し先を舐めて濡らす。晒された白い尻を見下ろし、狭間を探って肛門にゆっくりと差し込んだ。

「〜〜〜ッ!?」
「えらいえらい…じっとしとけよ」

ヌゥ、と細いそれが苦も無く入っていく。細さゆえ痛みもまったくないだろう、あるとすれば異物感くらいだ。
宥めるように尻を撫でてやると、小さい尻にはおれの片掌でほとんどを覆ってしまう。指が会陰や小さく、肌色の睾丸に触れた。

「んんっ…ロー…やだ、おしり…とってよぉ」
「まだダメだ…ピピって言ってねェだろ?」

だが勿論本体のスイッチを入れていないので、残念だが三十秒だろうが一分経とうが計測を知らせる電子音は鳴らない。

「よしよし…楽にしてろ。キッドは病院嫌いか?」
「うう…だいっ、きらいだぁっ」
「フフ…。なら病院に行かなくて済むように、おれが治療してやるよ。これは、お医者さんの特別な治療だからな……お母さんには内緒だぞ…?」

病院に行かなくて済む、とあからさまにほっとする表情を見ながら、クルクルと悪戯に体温計を回し、浅く抜き差しをしてやった。
ようやく手の中に落ちてきた獲物をこれからどう食ってやろうかと算段を立てながら、口元に笑みを乗せた。




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SDカードに眠っていたので加筆して庫出し。
尻切れトンボ
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