目玉一つを飲み込んだ男の言い訳


ユースタス屋を見ているとある衝動に駆られる。
押し倒したい、目茶苦茶に抱きたい、愛してると甘く囁きたい、などと陳腐なものではなく。

あの白い首筋に噛み付いて筋肉や神経を引き裂いてやりたい。
茨の中に放り込んで少しずつ身体の中に巡る血液を絞り出してやりたい。
脚の腱をズタズタに断って、下を這いずり回る身体を追い回したい。
片目をくりぬいて、只の虚になったそこに俺を焼け付けたい、
頤から下腹部迄を真直ぐ割いて、中に詰まったパーツを一つずつにバラシテヤリタイ…。

「こんな俺をどう思う?」
馬鹿じゃねェの
「そうかもしれねぇな」
狂ってる
「それは認めよう」
殺してやる
「おれはユースタス屋を殺したいなんて思ってない」


「殺したいなんて、思っていない」

能力なしにユースタス屋の身体に刃を走らせた。
滑り出てくる赤色にたまらなく興奮した。
固く閉じる瞼をこじあけて、逃げるように動く眼球に舌を這わせて味わった。
有刺鉄線を絡ませて、ユースタス屋がみじろげば絶え間なく傷を生み出して、少しずつ血が零れて行く。

「殺したいんじゃない」

苦痛に歪む顔が、どちらかと言えば好きだ。
色白の肌に傷が付くのは俺の目には綺麗に映った。



一つ、一つ、左手、右手、一つ、一つ、右足、左足首。
一つ、頭。一つ、心臓。
長い長い腸。綺麗な肝臓。一組の肺。一つ、左の目玉。

「これが、ユースタス屋?」

ばらけたそれらを一つ一つ確めてみる。
仕切りに罵り悪態の限りを尽くしおれを殺すと喚いた声はもう聞こえない。


「殺したかった筈じゃない」


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サルベージ


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