ボクが壊した青の時代


どうしてだっけ。
最初はあんなに好きだった。
今は…分からねえよ。

「別れるか。こんな俺が嫌なら、そうすればいい」
「テメェ…ッ」
「ユースタス屋の好きにしろ」




この間、誘って来た後輩の女と普段誰も近寄らねぇ空き教室でセックスしてたら偶然にも通り掛かったペンギンとユースタス屋にバレた。
派手な音を立てた後方を振り返ると今にも殴りかかって来そうな顔をしたペンギンが居て、どうやらそこらにあった机や椅子を蹴り飛ばしたらしかった。
その後ろで、じっとユースタス屋は突っ立っている。

「ロー」
「……邪魔ァ、するなよ…ペンギン」
「お前っ!」
「うるせェ。楽しみ中だ…後にしろ」

女が何か言おうとする口を塞いでこの場から逃げようとする身体を押さえ付けながら行為を続けた。
急に濡れなくなったそこに、ゴムで包んだ自身の肉を無理に出入りさせる。広がり過ぎた穴が濡れそぼって出入りしやすいそれよりも、引っ掛かるような摩擦がある方がよっぽど気持ちが良かった。
女はどうかしらねェが…ゴムしてるから、俺が擦り切れて痛い思いをすることはねぇし丁度良い。

「…先、行ってる」
「っ、ユースタス…」

ペンギンがユースタス屋を追いかけて行くのを気配で察しながら俺は女の頬を撫でた。

「悪かったな」




自然とユースタス屋との距離は開くばかりだった。
メールも電話もどちらからも出来ず、何もかも擦れ違わせた。
相変わらずペンギンには睨まれる。終いにはあいつユースタス屋に付いて回ってるんだから笑えた。
ペンギンは、俺と違って優しいだろうし気も利くだろう?
俺はお前が良く知ってるように鈍くはねぇよ、ペンギン。
ユースタス屋は、どうなのか知らねぇけどな。

「珍しく今日はペンギンと一緒じゃねェのか」

久し振りにユースタス屋と顔を合わせて、出たのは皮肉だった。
ユースタス屋は分からねぇって顔してたけど。

「…俺ら…もう別れてんのかよ」
「いや…まだ別れちゃいねェつもりだけどな。…自然解消なら、別に…それでかまわねェよ」

ユースタス屋がじっと見つめて来る。でも俺はその強い瞳と向き合う事が出来なかった。
笑って誤魔化しながら足元へ視線を下ろす。

「今、別れたっていい」
「トラファルガー」
「別れるか。こんな俺が嫌なら、そうすればいい」
「テメェ…ッ」
「ユースタス屋の好きにしろ」

簡単に言葉に出した癖に、答えはユースタス屋任せな無責任。

「…暫く、距離を置くか。期限は決めずに…」

背を向けて歩き出した俺に、ユースタス屋の言葉は一切届かなかった。

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