巣くう檻


「また汚しやがって…」
「…へへ…」

開いた瞳孔がふらりと彷徨って俺を捕らえた。
襤褸の囚人服の上は腹までまくり上げ、下は性器をむき出しにして、自身の体液で汚れたソレを晒してへらりと笑う。
トラファルガーと言う男だった。

「汚ェ」
「フフ…」

たった今、出したらしい白濁がぬとりと冷えた床に染みる。
掌を濡らし唇を引いて笑うトラファルガーは俺に見せつけるように尿道に残ったそれを絞り出した。
つとつとと糸を引いては落ち、両手で性器を握りながら悩ましげな溜め息を吐く。

「待ちくたびれた。お前が来る日は、お前が来るかと思うと、もうソレだけで俺はイッちゃいそうで何時間も前から此所は膨らんで痛くて熱くて吐きそうだ。衝動で人を殺しちまいたくなるだろ?わざわざ檻の中に居てやってるのにそれはねぇよ。持て成せよ俺を。ユースタス屋は俺を見張っておけ。24時間俺を看ろ。目を離すな。」

ガシャン、と牢の鉄柵に掴み掛かり捲し立て、柵の間から汚れた手をぬっと突出した。

「ユースタス屋ァ…」

哀願。そんな声で俺を呼ぶ。

「はァ……ほら、見てくれよ…」

膝を付けて座る足を開き、だらしなくみっともなく汚れた下肢を鉄柵に擦り付け、ぬらりと先を光らせて粘液を出す性器は怒張してピクピクと戦慄いた。

「は、ァ…あっ、あ…」

柵の隙間から足を差し込みジリ、と汚いそれを踏み躙ると嬉しそうに首を反らし、浮かぶ喉仏がごくりと上下して血管や筋は今にも弾けそうに引きつってるのが見える。

「ひ、ッ…は、ァ"…っ…フフ、フ…!…あぁ"…すげ、いい……!」

ぶるりと腰を震わせてよがり、柵を掴む手をギシリと鳴す。
にちゃにちゃと音の立つ足元から視線を上げると涎を垂らす口許が目に入った。

「…、…ッぐ…!!」

ガシャリと滅多な事では折れも曲がりもしない鉄が微かにゆれる。
俺が襤褸の胸元を掴み力任せに引き寄せたせいでトラファルガーが鉄柵へ前のめりに突っ込んだからだった。
ガツリと鈍い音をさせたトラファルガーの額から鼻からツゥ、と血が滴った。

「ー…、ッ…ぐ…ぅ…」

性器を踏んだまま腰を折り鉄柵に頬を押しつけ痛みに歪んでいるトラファルガーの顔を覗き込む。割れた額と鼻から流れる血に、口端から垂れる透明な唾液。

「ッ…ふ…ッ、ン……!!」

舌先を伸ばしてそれを舐めとると目を見開いたトラファルガーがギクリと身体を強張らせた。

「は…っ……はぁ…」

身体を起こし足を退けるとバネのように跳ね上がった性器が尿道管に残っていた白濁を飛ばす。
折角汚さないようにと踏んでいたのに、残滓は俺の靴に飛んで、エナメルを濡らした。
「チッ…おい、掃除しろ」
「……」

上の空のような面をしたトラファルガーは這いつくばって舌を伸ばす。
恍惚の表情で見上げる顔に囁いてやった。

「テメェの唾液に、血…。」
「…はァ…はぁ…っ…」
「俺の喉を通って胃の中だ」
「ッ、あ…はぁッ…ァ、あっ…」
「嬉しいか?」
「っ…ふ、ふ…フフ…はははっ」


蕩けるような笑顔をしたトラファルガーの汚い掌が、俺の腹に伸びる。

「ユースタス屋に…俺が、混った…!!!」


笑い声の響く檻。
異常快楽を味わっているのは俺なのかもしれない。
今日もこうして弄んでいるのだから。






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螺子の外れたローと看守のキッド。
ローを弄ぶことで性的に興奮してる自分に酔ってるキッドさん。(裏話)
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