いつも隣りのその周り
 



(2013/03/02より)

ペンキラの行く末について。

バレンタイ話から、考えれば考えるほどにペンキラって将来性ないなー…って思いました。
いつも隣りの第一部(仮)の連載が終わってからずっとサイドストーリーで隣の彼らのその周り、的に題打ってペンキラ物語を6ページくらい書こうと最初思っていたのです。
ま…その、思ってても出来ない(やってない)現状であるわけで。
その先駆けとして短編の方に隣りのロキドとペン・シャチ、キラーが顔合わせする話を書いてるのですが。そう…あれを元にペンキラになるまでとシャチと彼女さん話を余談程度に書きたかったのですよ。いずれ書けたらいいです。


キラーとペンギンはとても似ています。(いつも隣りの設定に置いては)
キラーにはキッドって言う、面倒を見てあげなきゃな…って思える友人で兄弟で恋人で…なんて、そんな風に思える人が居ました。
キッドの生い立ちを考える故に自分が側にいて支えてあげなきゃ、とかキッドにはおれしか繋がりがないんだとか身勝手にもそう思ってしまったりして。
ペンギンも同じく。ロー(とシャチ)と言うほっとけない友人、兄弟…そんな存在が。
キラーとキッドは作中でもあったように想い叶わず恋人にはなれなくて、でも掛け替えのない友人と言う存在であることには変わらなくて、それでいいんだって思えて、でもやっぱりちょっとだけ、本当の恋だった叶わない想いの辛さに胸が痛くて。
ペンギンとロー。含めてシャチ。結構田舎なところに住んでるだけあって、土地は広いがどこか閉鎖的でもある。人間関係においてとくに。
ローは父母がローの同級生の親と比べたら大分年代が違うし、ローも独特なのでちょっとやっぱりなんか違うんですよね。
ペンギンとシャチの父母とローの父母、一回り以上歳は違うけどそれでも昔から近所の知り合い・仲良しさんをやってて子供も同い年だからってのでつながりがあるわけで。
シャチは楽観的で明るい子だし何をするにも考える前に行動しちゃうから勿論打算とかない。ローのおじちゃんおばちゃん(父母)はやさしいし。ローは独特だけど物知りで意外に行動力合って一緒に遊ぶのは楽しい。ただそれだけ。
ペンギンは幼少期から生真面目で親にローくんと仲良くするんだよ?って言われると仲良くしなきゃ、と思うわけで。自分の父母よりローの父母は歳を取ってるから、とかローは独特だから、一人っ子だからとか「特別」な目でローを見たりして。
「ロー、あぶないことしちゃダメだ、シャチも」同い年なのに手綱を引っ張るペンギンにぶーたれるローとシャチだけど、それで均衡を保てたし、仲が悪くなることもなかったし。
シャチは誰とでも仲良くなれるからいいけど、ローは自分から友達を作るタイプじゃないからペンギンが側に居るわけで。
でも、実際ローは一人でなんでもやるし、ローは面白い絵も描くし一人でいろんな行動を取るから周りの子はローに興味があったんだよね。黙っててもローは話しかけてくる友達はいたんだ。
ペンギンは高校生になって(中学までは1クラス。高校は学科含めて7クラスあった)はじめて「ああ、おれもしかして…」って思うんだよね。ローのコミュニティを潰してたのはおれだったんじゃないかって。クラスが分かれて、ローが心配でローの様子を見にいってクラスの子らとそれなりに仲良くしてるローを見てペンギンはなんだか言い表せない気持ちになる。
でもシャチが居るんです。ローに声かけずらいなぁって勝手にしょんぼりしてるペンギンの肩を掴んで
「ロー、帰ろうぜ!」って。
「お前彼女は?」
「部活だってさー。おれよりも部活が大事なんだぜー酷いよなー(笑)」
「なんだ。もう倦怠期か?別れたらお祝いしてやるから教えろよ」
「付き合うって報告した時には「ああ、で?」だったのに別れたらお祝いってナニ?!」
わーわー言いながら3人で廊下を歩くんだよ。
「なー、ペンギン、ローのひでぇ性格って年々増してるよな!?昔はあんなちっちゃかったのに!!」
「ちっちゃいのは関係ないだろ…それに今おれ達の中で一番小さいのはシャチだろ?」
「だー!酷いっ昔っから2人しておれをいじるんだものッ2人ともひどいっ」
「あーもうウルサイ」
「2人とも酷いけど、ころからも一緒に帰ろうな!」
「……お前彼女は?」
「どうせ部活で一緒に帰れないし、おれ部活なんてしたくないしさー。それにせっかく高校も一緒だったんだし帰り道も一緒だし、3人のが面白いだろ!」
「うるせぇだけだろ…お前が。ペンギン、本屋よってこうぜ」
「うん。いいよ」
「あー、またおれを除け者にしようとしてる!」
こうやって高校時代も一緒につるんでた3人。ペンギンもいろいろ思いなおすこともあったけど完全なロー離れには至らなくってな。
閑話休題。そんなこんなで、キラーはものの十数日でキッドを持ってかれ、ペンギンはほん2ヶ月合わないくらいでローは恋人が出来ていて。
キラーもペンギンも気づけば1人。仲間は居れど実質的隣りは淋しく。

ここから、書きたかったペンキラへと移行するわけです。
ペンギンはローを見ていて、年上の恋人さんがいて羨ましいなって思う。適度に世話を焼いてくれて気持ちを汲んでくれてベタベタするでなくデレデレするではなく。兄弟のじゃれ合いに見えて母性を感じて、でもやっぱ恋人の甘い雰囲気で。
ペンギンはローの恋人、キッドの友人だと言うキラーを見て、ローの世話を焼くキッドの世話を焼いている。そう言う人なんだな…ってちょっとした親近感を感じでちょっと目が離せない。
シャチはずっと彼女がいるし、ローも恋人できたし、おれはどうなんだろう。田舎を出て1人。ローもシャチも近いとこにいるけど大学は違うし、生活も違うし。漠然とした不安を感じる。
実際一人暮らしは慣れなくて大変だし、ちょっと田舎恋しい。ローはいいなぁ、恋人、しかも年上で面倒見はいいし近い…ってか隣に住んでるし。
シャチは遠恋だけどそれをばねに頑張れてるし。

5人で顔合わせの帰り(となりにの短編参照)、シャチは電車で、方向が一緒だからとロキドと帰る。聞けばキラーの家とペンギンの家は同じ方向、町だと言うのでキラーがバイクで送り届けてやると言うことに。
じゃあ、と2方向に分かれてバイクを置いてる駐車場へ歩くキラーとペンギン。
バイクの話をちょっとしたりしながらすぐに着いて、せっかくだから観光案内(本道をメインに走って回るだけ)でもしようか?って気を利かせるキラーに、なんかちょっと胸が重かったペンギンは普段なら断るけど「じゃあお願いします」ってお願いしちゃうんだよね。キラーも走るの好きだから軽くOKして夜景映えしそうなとこを走るんだ。
バイクの後ろに乗るなんて初めてでおっかなびっくりなペンギンだけど、バイクに乗ってるし話すこともないけどなんか特別な気分になって「ああ、なんかこういうの良いな」って思うんだ。
で、自分らの住む町に来て家どの辺?って初めて詳しく道を教える。ああ、なんだ。結構近いじゃないか。おれはここから…なんて家が近くて。
キラーに「頼ってくれて構わないから気軽にしてくれ」って言われて『あ、おれキラーさん好きかも』って思うペンギン。
「キラーさん、ユースタスさんのこと好きでしたか?」
焼き肉屋で最初から感じてたことがぽろっと口を出た。
「…」
「あ。いや…その」
「…好きだった」
「……そう、ですか」
「今も好きだな。多分ずっと好きだ」
「辛くないですか?」
「そうだな…昨日よりも辛くない」
「昨日…より?」
「日に日に、辛くなくなる。もう吹っ切れているし未練もない。今は友人として好きだ」
「それでよかったんですか」
「キッドもおれの気持ちは知っているからな。まぁ…報われなかったから今はこうなっているが」
「告白したんですかっ?」
「なんというか…キスをしたら背中を蹴られた」
「はぁ?」
「ふ、ははは。今晩は遅いからまた…おやすみ。さっきも言ったが近いんだし何かあればすぐに頼ってくれ」
長い髪の隙間で目を細めて笑むキラー。フルフェイスのヘルメット被ってバイクを走らせて去る背中をペンギンは見送る。

それから1週間後の朝チュン。
キラーが少し腫れて重い瞼を持ち上げ、躰を起こし…『嘘だろ…』と声には出さず片手で額を押える。自分・裸。ペンギン・裸。腰・痛い。
溜息こぼしてベッドから抜けて、シャワー浴びてやかんを火に。その間昨夜のことを思い出す。焼き肉屋からペンギンを送り届けたあの日の話の続きをした。
あの時は未練はなく日に日に辛さを忘れると言った。それは本当にそうだった。でも残っている辛さはまだまだ癒えても消えてもいない。酒に酔う方ではないがアルコールの所為も多少は否めない。寂しさもあった、確かに慰めも欲した。
けど。だからって…。あああ、と内心頭を抱えるキラー。
キッドが好きだったと泣いた。恥ずかしい。トラファルガーへの不満をぶちまけた。恥ずかしい。でもぬるま湯の中でいい気になっていた自分が許せないと初めて誰かに吐露できてすっきりした。
「…っ!」「おはよう」湯が沸ききってシュンシュン、ごぼごぼと音を立てるやかんを気づかず放置していたキラーの背に温もりが張り付く。そして火を止めた手がそのままキラーの腹部に周りキュッと抱え込んだ。
「…おはよう」「ん…」誰と言わずともペンギンである。キラーは驚きと溜息を飲みこんで挨拶を返すとまだ眠たげなペンギンが首筋にぐりぐりとすり寄った。
「コーヒーを淹れようと思うんだが」
「うん」
「飲めるか?」
「飲めるよ。あんまり濃いのは飲めないけど」
「そうか…。……そのまえにお前はシャワーでも浴びてこい」
「はい…。」
ちゅ、と耳の裏にキスを残しペンギンはシャワーへ。キラーはようやく大きなため息をついて重い目を何度か瞬かせた。
漠然と『付き合うことになるんだろうな…』と想いながら。


ペンキラの始まりはあまり良いとは言えません。勢いで抱かれちゃったキラーです。
ペンギンに慰められてやんわり肩を抱かれてキスされて、抵抗しなかったのはキラーです。もういっか…って感じで。
翌朝、だいぶ後悔したけどペンギンが乗り気だし、嫌いだとは思わないしキッドへの好きって気持ちが変わったようにペンギンに対する好きも変えればいいんだって思って。

そして1年足らずで同棲します。近いけど遠い距離に我慢できなくなった2人。ローとキッドは隣だからいいよなぁ。羨ましいよな。どうせならおれたちは同棲でもすればいいよな。と、こんな具合に。

で、こんなナリでも本当に好きになって愛し合った時もあったんです。これは本当に。
確実な愛があった。
でも酷い喧嘩もする、悩み事も多くなる、言い切れない言葉もある。
「そんなんだったら別れろ」辛辣に言うのはシャチです。ローはペンキラの喧嘩の度にグダグダするペンギンに何度も「なら別れればいいだろ」と言います。
でも、別れるな、まだ別れるのには決定的ではないだろうって激励の意味を込めて突っぱねるようにローはわざとそう言ってあげていたのです。
何かに悩んでる人相手に親身になる…ローは自分の恋人とその友人と自分の昔からの友人にしかその熱量を使わない男です。
自分には恋人の友人だったキラーも交流していくうちに自分の友人としてキラーを信用するようになりました。
だからこそ自分が悪者になってでも恋人の大事な、そして自分にとっても大切な友人キラーといつも自分と一緒にいてくれた無二の親友のペンギンを別れさせないようにってしてきました。
そんなペンキラの恋人同士だけでは収まらないいざこざを、ロキドの苦労を含めて見てる男が居ます。シャチです。
シャチもペンギンが愚痴ればペンギンのほしい言葉を掛けてやるし、キラーの話には合わせて「でもお互い想い合ってるから喧嘩するんですよ」なんて励ましもした。
が、シャチの堪忍袋の緒だって切れるのです。珍しくローが諌める側になるほどにシャチは痛いくらいな正論をペンギンとキラーにぶつけます。ローもシャチの言葉は今まで自分が言いたかったものばかりだったのでもう綺麗ごとは言わずに聴くに徹します。
「慰め合うためにくっついたんだろ?それで上手くいかなかったってことはもう慰めは要らないか、最初からその程度だったってことだよ。なにに意地になってんにかわかんねぇけど、本当に嫌いになる前に別れればいいだろ。その方がきっといい。友達に戻ろうと思えば難しくなんかない。喧嘩するより気持ちは楽だし簡単だ」
「…シャチが言い過ぎ…とは思わねェ…。」
と、ローが止めに。キッドは口を出さずずっと傍観です。キッドもいつローとこういう風になるかわからないのでちょっと不安な気持ちになってる。(実際ロキドにこんな心配は訪れない)

で、ちょっとして。晴れ晴れとした気分で別れたペンキラ。晴れ晴れ…とは厄介事が片付いたと言う意味ではなく、友人に戻った気楽さです。
最終的に、別れようって2人で決めた時になんだか情けなくて2人して泣いたし、やっとお互い言いたくても言えなかったことを言ったし、だからこそおれ達やっぱダメだなぁって。そんな風に思われてもおれの性格じゃ無理だしって泣き笑いしながらちゃかしあった。
同棲してるから、これも解消しなきゃなってなって、どちらかがここに残るのも微妙だから2人でともここをでようってなって、だから半月くらいルームシェアになるぁって笑って。半月、同じ家でお互いの距離を測りながら、新しい物件を一緒に探しながら、荷造りしながら。
5人で変わらず飲んで遊んで騒ぎたいんだって、それは同じ気持ちだって約束して、じゃあまたね。

それぞれの新しい家に。
なんとなく、ローが一番気にしてるといい。自分が好きな人同士が別れて複雑に思うロー。ローもこんな風に思うんだなぁってちょっと嬉しくなったシャチ。気にしてるローが心配なキッド。
キッドはキラーの心配はあまりしません。って言うのもキラーがキッドから心配されるの好きじゃないのを知ってるから。それにキラーのことをよく知ってるからこそキラーが納得してこういう結果になったって言うのを理解してるので口を出しません。
でも、ペンギンと付き合うことになった、ってキラーから聞いた時にはちょっと嫌な顔しました。
キッドはペンギンが周りに感化されてるのと、淋しさを紛らわせるのと、支えを欲しがっているだけってのを気づいていたから。
キラーも勿論そのことに気づいていたけど。だからこそ…って感じだったんだよ。

そんなこんなで別れた2人です。ペンギン大学4年の春。
で、友人に戻ってとてもいい付き合い。で、ペンギンは就職でちょっと遠くへ出ることに。ローは近場でいいところに。シャチはもう就職してます。
ペンギンだけ遠くへ行くので送別会。でもたまには来れる距離だから。そんなこんなで。
友人同士と言っておきながら不純だな…なんて淋しく笑いながら暫しの恋人ごっことかすればいいよ。不毛だと思うけどそれでいいならいいよ。

ローとキッドの細やかな結婚式をみて、また気持ちが変わるペンキラでもいい。
付かず離れずしとけばいいのさ。

って、いうペンキラ妄想でした。
おお…こういう風に書けばさらっと書けるんだよね。
書きたいことだけ上辺だけばーっと。
あえて言うならロキドと正反対にしたカップル。
キッドとローはローの淋しさとかそんなのではなく普通に惚れて付き合った。
ペンキラはペンギンの淋しさと周りにおいて行かれそうな気持から、側にいた丁度傷心中のキラーに魅かれただけ。
ペンギンひどいって思うかもしれないけど、淋しいってのは辛いことなので許してあげてください。キラーも淋しさが埋まった部分もあるんだよ。


 

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