痴話喧嘩は余所でしろ
 



(2011/10/10より)


ロキドは軽い言い合い小競合い、コミュニケーションの範囲で小さな喧嘩とも言えん喧嘩しかしないとカップルだと思う。どちらかと言えばキッドの方が尾を引く感じだけど気持ちのいなしかたを知ってるし、この2人は年上だから年下だからってのを上手く使うんだろう。
キッドは年上だから引いてやるしローは年下だからあるていどの気持ちの押しつけを許してもらえる特権。
気持ちが伝わらないならどうにか時間を掛けてでも言葉で伝え合おうって心構えがあるのでとことんまでお互いを知ろうって我儘が通じる強み。
そこを面倒だと思わない多分(ロキドにしても他にしても)稀に見るカップル。


対して、ペンギンとキラーはどちらかと言えば保護者ポジション同士で気が合う。気が合うばかりにお互いに引きたいとこと押したい気持ちが被ってしまって凸凹でがちゅん!と行くとこが凸凸、凹凹になるので噛み合わない。
「たまには引けよ」「たまには俺に譲れよ」と同じタイミングで思う、けど、我慢強いし2人だし、そんなので一々子供みたいにつっ掛かるのもペンギンにしたら子供じゃないし、キラーにしたら大人げない。という年下と年上の気持ちがこれまたうまい具合に込み上げるわけだ。
お互い口に出せない苛々もやもやがストレスで、ロキドを見れば喧嘩(と言うなの戯れ合い)してるくせに上手くいっている その様子にまた俺達とどう違うって言うんだ。俺たちは喧嘩もしないのに!とまた苛々。
喧嘩しないのがダメなんだとは気付けない。
そしてたまりにたまったストレスがドカン!と爆発し収集のつかない喧嘩とも言えない言い争いが始まるわけだ。
「ローはこうなのに。くらべてユースタスはキラーと違って!」「キッドはああだけど、トラファルガーの奴はこうだからお前よりは!」ってロキドと比べながら不毛に言い合うと。
「ならいっそローの世話でも妬けよ!」「そんなにキッドがいいならあいつに甘えて来い!」ってへんな勘違いし合ってさ。


で、キラーはキッドに愚痴りに行くし、ペンギンはローに愚痴る。

キッドはまぁ、ペンギンは難しいよな。でも俺とお前となら大分ペンギンの態度は違うぜ?とかなんとなく慰めたり、キラーにもう少しペンギンに任せろよとかも言葉を選びながら言ってみる。

ローも(意外と仲間思いなので真剣に)ペンギンの話を話を聞きながら、思った事を思ったままの言葉で言う。
別にキラー屋はお前に全部合せて欲しいわけじゃないとか、お前は真面目すぎてちょっと鬱陶しい(これはペンギンじゃなくとも言われたら傷つく)とか。
そしたらペンギンが流石にカチンと来てローにキラーの何がわかる!?って珍しくペンギンがプッツンする(若さ故の勢い)ここでローも言わなきゃいいのに「少なくとも今のお前より俺はキラー屋のことは理解できる」とか挑発的に言っちゃって。
思わずペンギンは手が出ちゃってローをぶん殴る。
喧嘩の不馴れなペンギンが下手くそに殴るもんだから鈍い音はするし頬骨の真上殴られてローは結構痛いし。
やられたら返す主義のローは殴るならこう殴れと言わんばかりにペンギンを殴り返すと。
そっからは取っ組み合い。殴る蹴る押し退ける。
※因みにペンギンの家。
シャチが遅ればせながら来ると部屋の中から不穏なドタバタ音。慌てて勝手に玄関に飛び込み駆け込み仲裁に入る。
「何してんだよ2人共!?ちょ、タンマタンマ!落ち着…いてぇ!?俺を殴るなよっ離れろお前ら!ペンギン手ぇはなせッ」
ローはやっと来たシャチを目の端に捕らるとさっさと喧嘩をやめてどさまぎでシャチを軽く殴る。ペンギンは頭に血が昇ってるのでロー殴るしか頭に無くローの胸倉を掴みかかる。
シャチはどうにかペンギンを抱えてローから離し、何やってんのと呆れる。

ローはシャチが来たので俺の役目は終わりだと言わんばかりに帰る宣言をかましてさっさと帰る。シャチはポカァン。

で、ローがアパート帰って来ていつも通りにベランダ伝いにキッドの部屋に来る。
キラー「、…!?」2度見→ぎょっ
キッド「あ?どうし…た、あぁ!?」
キラーはキッドにまだ相談中。ふと目線を上げ窓を見るとローがいてその顔みてびっくり。キッドは窓に背を向けて座っていたのでキラーの顔を見て何があるんだと窓を振り返ってこれまたびっくり。
痣と腫れで凄い顔のロー。鼻血を適当に拭いたのか鼻の舌から頬まで滲んだように広がる血。そででも飄々とした表情。
キラー「トラファルガー!どうした?誰に…」
キッド「おまえ…なんだよその面は」
ロー「……男前だろ?」
キッド「…はぁ。あーあー、良い面だぜ全く。取り敢えず顔洗ってこい…鼻の下すげぇぞ。もう血ィ止まってんな?」
ロー「あぁ。血は止まってる」
キラー「……」
怒るでも過度に心配するでも無く飽きれた顔しながら苦笑するキッドと、話きいて!と語りたがるわけでもなく怪我心配してくれと泣き付くわけでもないロー。
そんな落ち着いた(?)2人のやり取りを見ながら焦りを通り越しぽかんとするキラー。

キッドの部屋の洗面所で顔を洗い、漸く自分の顔をまじまじと鏡で確認するロー。
ロー「うっわ…」
キッド「お前よくその面で道歩けたな」
ロー「歩きやすかったぞ…人が俺を避けて歩いてくれたからな。…でも流石にこれは、申し訳なかったと反省中だ。ひでぇなこの面」
キッド「ちょっと上向け…骨は?大丈夫そうだな」
ロー「いちちちち…ッ…口ン中もいてぇっ」
キッド「あーんしてみろ…あー…弾みで噛んだだろ?まだ血ィ出てる」
ローの手当てしながら傷を確認するキッド。
キラー「…大丈夫か?」
ロー「ああ。ユースタス屋のよりヘッポコなパンチだったしな」
キッド「一々あれ(本編11話)と比較すんな…氷当てとけ。気休めにはなんだろ」
手当てが済むと漸くキッドがどうした?って聞くと(ローが「別に」と言えばそれで終わるし話始めれば黙って聞く。今回は後者)ローはペンギンの家に行って、ペンギンにちょっかいだしたら殴られたので泣かせて帰って来たと報告。(一部キラーを試すように優しい嘘を混ぜつつ話を誇張して説明。ローはひねくれ屋)
キラーが思わず立ち上がり掛けるのを腫れた左目は閉じて右目だけで見ながらローは「キラー屋もキラー屋だな」なんて言う。実はちょっと不機嫌なロー。
キッドは黙って伺う。
キラーは「何が言いたい?」とムッとする。
ロー「ペンギンはユースタス屋程気が利くわけじゃない。それに馬鹿に真面目だから融通が利かねぇとこもある。理解してるんだったらキラー屋から言ってやれよ…鬱陶しいって。そんくらいの軽口言ってやれ」
キッド「…それは軽口にしちゃストレートに言い過ぎだろ」
軽くローの頭をはたきながら口を出すキッドはキラーを見て「まぁ、こいつの言うことは俺も間違っちゃいないと思うぜ?」って苦笑気味に言うんだろうな。
キラー「それは…」
キッド「お前がそうやって下手に遠慮したりするからペンギンも甘え切らねぇんだろ」
と珍しく窘めるような口調のキッド。
ローはもう言う事は言ったのでキッドの飲み物を勝手に飲みながら腫れた顔を冷やすのに専念します。
キラー「…ペンギンは?」
ロー「シャチに押し付けて来た…今頃シャチが泣いてるかもな」
キッド「シャチが一番不憫だっな…」

そうだな、と肩を竦めながら急いでキッドの部屋を出るキラー。
一騒動がやっと片付き溜め息を付くキッド。
「らしくねぇな。お前が痴話喧嘩に首突っ込むなんて」
「ユースタス屋だってキラー屋にあんな風に言うのは珍しいだろ」

ローは仲間思いだし、キッドの友人のキラーも世話になってるし好きなので仲が悪いままでは嫌だしかと言っていつまでもうだうだ言うペンキラはうざったいし、なによりくだらん痴話喧嘩で自分の邪魔されるのもキッドの邪魔されるのも正直一番ムカつくので一肌脱ぎました。
キッドは痴話喧嘩の話くらいきくしたまにはでかい喧嘩もするだろう。とどうでも良さそうなぶっちゃけ他人事だし。な気構えだけどローが愉快な面下げて帰ってきた挙げ句、ちょっと不機嫌だったのでこの場限りでも早期終結へと持って行く。
自分のとこに相談にきた友人の所為で年下の恋人に不快な思いをさせるのと、そしてなにより不機嫌なローを宥めないといけなくなる自分の苦労を考えばこそ。
この2人はこの手のことは一々皆まで言わんけど。

キラーが帰ればローは遠慮なくキッドに甘えて、キッドは少なからずとも怪我は心配したし無茶したのは注意してやりたいので「3割増だな」くらいの皮肉をいれつつ本当に困った顔で溜め息つくよ。
ローは素直に心配かけてごめんって言う。そして痛いって弱音吐く。
十分甘えて、甘やかしたらキッドが「シャチ呼んでやれよ」って言ってあげるんだ。
ローもあいつはいいんだとかぶつくさいいながら(シャチ相手だからこそ素直じゃない)シャチを呼んで、事の発端と結末を話すんだな。
ローにボコボコにされたペンギンは口を開かなかったのでわけがわからず、でも取り敢えず手当てして、そしたらキラーが来てまた一騒動からの良い雰囲気という台風に巻き込まれた可哀相なシャチはキッドの手作りのご飯頂きながらやっと苦労が報われるんだな。

後日被害者の会のロキドシャチに加害者の会ペンキラが謝罪の席を設けるよ。
その日まで特に連絡しあわなかったペンギンとローは喧嘩したままで、ペンギンとしては居心地悪かったけど怪我も治って(痛みは引いてあとは色と傷だけ)きたし、それにローは元々喧嘩した気ではなかったのでケロッとして普通にペンギンに話し掛けるのでペンギンはちょっと驚いたりしつつ、いつの間にか普段通りな彼等になるんだよね。


ローは喧嘩慣れしてるわけではないが不馴れでもない。
あんな性格なので絡まれる事は昔からしばしばあったので殴り方も泣かせ方も知ってるはず。
言葉もいっぱい知ってるしその気になれば上手く伝えられるかもしれないけど、少なくとも好意を持ってる相手には小細工入れず直接的な、むしろ逆撫でする勢いで諭してやる。

ペンギンはいつも仲裁役で人当たりが良い子だったので宥め方はまだしも殴り方なんて、まして喧嘩の仕方もよくわからんはず。
大人な気持ちで謝るのはとくいだけど意固地になった場合にはそうとう難しくなりそうだね、ペンギンは。


また小説一つ分だよ…。
でもしっかり書くと時間も量も倍になるしな。



 

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