甘さも淋しさも自覚持ち
 



「ただいま」
「おう。おかえり」

10日振りに見る顔は
まぁ、10日前とさして変わりはなく。





トラファルガーの大学の春休みも近いある日、ペンギンやシャチと遊びに出ていたトラファルガーは何やら資料片手に帰って来た。

「免許合宿?」
「あぁ。ペンギンに誘われた」

帰って来早々、寄越こしてきた資料に目を通す。二輪免許の案内だっだ。
最短で取得できる合宿の案内もついていて、どうやらトラファルガーが見せたいのはこちらのようだった。

「へぇ?いいじゃねぇか…でもお前バイクなんて興味あったのか?」

聞けばペンギンからの誘いのようだが、ペンギンはキラーと同じ趣味を楽しみたい為に二輪免許を取りたいんだろう。
だがトラファルガーにバイクの趣味がねぇならはっきり言って免許取得は無駄だ。

「無くはねェ。それに免許取ったらキラー屋がバイクくれるってさ」
「…お前…それが目当てだろ」
「フフ…駐輪場はタダだしバイクあったら色々便利だろ?」

キラーの余してるバイクを貰う気でいるトラファルガーはバイクへの興味もある程度はあるらしい。なら、特に止める必要もないだろ。
俺もトラファルガーも自動車の普通免許は持っているがアパートには駐車場がないのと、そこまで必要性を感じず(個人的には保険や税金が馬鹿らしくて)車自体は持ってなかった。
だがトラファルガーが言うようにアパートの駐輪場はタダだ…バイク一台でもあれば楽、と言えば…楽だよな。

「シャチは?」
「あいつは原付き乗れりゃあ十分だと」
「ま、そうだな…」



こうしてトラファルガーとペンギンは春休みを使い二輪免許を取ることにし、10日ばかりの合宿へと行った。

「3食付きで風呂は温泉…全部込みで10万から釣りが来るってのはいいよな」
「あぁ。早く取れるし行き来しなくていいしな」

トラファルガー達が合宿へ行って3日が経った。キラーと2人、馴染みの居酒屋でゆっくりとした時間を過ごすのは久々な気がする。

「バイクやるって本気かよ?」
「ああ…もう乗らないやつだ。それに、今更やらんとも言えないだろ?」
「はは。わりィな…けどすげェ嬉しそうだったぜあいつ」
「いや…ペンギンも1人で行くより友人と行った方が楽しいだろう。トラファルガーがその気になってくれたのはむしろ有り難かった」
「…甘ぇな」
「お互い、だろう?」


なんて苦笑し合う俺たちは、もう1人分の飯の作り方も忘れちまってるくらいだ。
さて、昨日はすっころんで肘を火傷したと写メ付きでメールを寄越してきたが、今日はどんな話を聞けるんだろうな…?






(ただいま)
(おう。おかえり…)
(…)
(なんだよ?)
(淋しかったか?)
(……テメェと、一緒だ)
(…フフ)



   

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