キミの隣には 1
 



いやぁ、なんつーか。例えるなら恋人が可愛すぎてダチには紹介したくねぇって、そんな感じ?(経験者は語る…なんてな)




進学を機に実家を出て一人暮らしを始めた俺たちは、久し振りに3人で集まった。
因みに俺は専門学校、ペンギンとローは大学へ進学して今は五月の連休中だったりする。
そんな素敵連休に、上り方面のペンギンと下り方面の俺の住む家から挟むようにしてあるローのアパートに様子見がてらに集合した訳で…。
頓着があるようで全くないローがちゃんと生活出来てんのかって俺とペンギンはメールと電話で散々心配し合った。もしかしたら一日掛かりで掃除や洗濯と諸々をしてやらなきゃならないかも、なんて。
けど…ところがどっこい。
本なんかはあちこちに無造作に積まれているが汚い部屋って訳でもないし洗濯物が溢れてることもない…そのことにも少し驚いたが、もっと驚くことがあった。

「ロー、太った?」
「…」

思った事は言わずにいられない俺の目の前でバタン、とドアが閉まる。
締め出された………。




「いやいやいや、つまり俺が言いたかったのはー…」
「黙れシャチ」「ひでぇ!」

攻防の末、なんとか家の中に入れてもらえたが喋り掛ける度に罵倒が返って来る。まぁ…慣れてるけど。つーかこの人の理不尽さも久し振りだな。

「まぁまぁ、その辺にしとけよロー。シャチじゃねーけどなんか…随分健康的に見えるな」
「そう、俺もそれが言いたかった!見ろよ、俺もだけどさぁ。ペンギンだってここ1月でかなりやつれたんだぜ?」
「……」

一人暮らしに学校に加えてバイト…慣れない生活にヒーヒー言いながら俺は体重が3kg落ちた。風呂入って洗濯まではするが飯を食うのが億劫でもう何度も飯そっちのけで寝ちまったり。殆どのことに真面目で器用なペンギンでさえも不馴れからか俺とそんなに変らない生活を送ってるらしく疲れが見えてる、…なのに。

図太いようでいて意外に繊細なローが、几帳面なようで全くの……な、ローが。自家にいる頃から何となくひょろっちくて不健康そうなローが。
俺たちよりもまともな生活を送ってしかもなんかすっごくいいもん食ってるんじゃねーかってくらい血色もいいし…ま、目の下クマは相変わらずだけど。

「なぁペンギンさんよ。なんでだと思う?」
「…さぁな…ロー自身が頑張ってるってわけじゃないと思うけど」
「えぇッ、じゃあなんだよ…まさか女?」
「無くもない…が、そんな出来た女がいるのかってのも疑問だ。考えてもみろ、ローに付き合い切れる奴はそういないぜ?」
「確かに…」

コソコソとわざとらしくでかい声で話す俺らの目の前にベッドに寝転びベポを抱くローがいる訳だが(つーかベポ持って来たんだな)、聞こえている癖になんも言わねぇってことは近からず遠からずなんだろう。気になるなァ…





  

- 42 -

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -