持つべきものは
 




※名前もない、シャチの恋人(女の子/オリジナル)が出てきます。


キッドとキラーの友人関係はともかく、シャチ、ペンギンとキッド。
勿論ペンギンとキッドも友達ではありますが、そんなに1対1で…ということはなさそうだなぁと思います。別になにがそうするわけでもないけど、友達だけど特に干渉しあわないのって1人2人いるよね。それに1対1よりも、ロキド、ペンキラのペアの括りでさ。
何かするのにも個人よりも、ローとキッドに、ペンギンとキラーに…って感じで。
シャチ。シャチは恋人と離れているのと、天性の人懐っこさとフットワークの軽さで割と誰とでもなじめるタイプだろう。で、キッド、キラーのことを友人の恋人だけど、その前に自分のありがたい先輩と考えてるので、奢ってもらうし洋服や靴なんかをありがたくいただくし、頼るし、とても上手なんだろうと思います。
ペンギンはそういう意味では硬いだろうからいちいち嬉しい!よりも恐縮から入ってしまうんだろうな。
シャチはバカな子ほどかわいいって言う意味をちゃんと知ってるんだろう。後輩気質を地でいくね。

書こうと思ってて書いていない話で、シャチはひどい風邪を引いて一時ローとキッドに保護されると言う話を考えているんですが。(まぁ、それはおいおい書くよ…たぶん)
ペンギンは風邪引いてもキラーがいるからね。シャチとロキドのイベントが多くなるのは仕方がない。そして出さないだけできっとシャチはキラー、ペンギンともいろいろ絡むだろう。(拙宅はロキドがメイン)

何れ書こうとか思ったけど、今書いてもいいんじゃないかなー。と思ったので今書く。

その日。ローの買い換えたばかりのスマホ(キッドとイロチでオソロ(死語)に珍しい…シャチの彼女さんからこれまた珍しく着信が。
地元の頃ならシャチの彼女さんの携帯からシャチがローに電話かけてくることは数回あったものの、今は遠恋中の2人であるし滅多にないことなのでローは無下にできないその着信を取りました。

「シャチくん、昨日から連絡付かなくて」

どうした?とローが電話に出ると、軽く久し振りのあいさつをして、今時間あるかと少し様子の違う声で問いかけてくるシャチの彼女さん。
ローは大学終わってキッドさんの仕事終わる時間まで暇をつぶしているところでした。気を使うことはないと言うと、シャチが昨日からメールも返信くれないし電話は電源が入っていない当のアナウンスが流れる。と不安げな声。
1日くらい…とは思うし、彼女さんも実際1日2日でどうこう言うタイプではないけど、電話の呼び出しに出ないのならまだしも、つながらないのがそもそも気になるし、加えて「シャチくんちょっと前から風邪引いてたみたいで…一昨日は電話したんだけど声も悪くて体調も悪そうだった」
彼女さんにすれば自分が今すぐにでもシャチのところに行って様子をみたいけどそれも無理で、ペンギンに電話してみたけど繋がらなくて。
ローはわかったとすぐさま荷物をまとめつつシャチの彼女さんに声を掛けます。

「今からシャチの家に行ってくる…また後で掛けなおす」
「うん…ありがとう」

ぶっきらぼうで優しい声なんてかけないけど、ローと連絡がついて少し安心した彼女さん。
通話を終えて、ローもシャチに電話入れるけど「電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため…」と流れるアナウンス。
時計を見ればキッドの仕事が終わるまではもう暫く…

「悪いな」
「いや…それはいいけどよ」

直感的に、ローはキッドさんに仕事早く上がれないかと連絡を取りました。
「シャチがぶっ倒れてるかもしれねェ」
そんなことを電話で言われ、キッドははっと同僚の顔を見れば、同僚は緊急を察してくれて大丈夫と言ってくれました。途中の物を片づけつつ、ローには迎えに来いと言い慌ただしく帰り支度。

「緊急事態です?」
「なんか知り合いの奴がもしかしたらぶっ倒れてるかもって」
「わー、無事だといいですけどねェ…体調崩しやすい時期だよねェ」
「明日、私休みですんで代われますよー。必要だったら連絡ください」

前から言うように、キッドさんの職場は少人数で持ちつ持たれつでやっています。ゆるーい感じですが、チームワークと仕事ぶりはすこぶる良し。
そんなこんなで、バイク飛ばしてきたローの後ろに乗り、2人でシャチの家へ。
このときキッドは初めてシャチのところに来たんだといい。まぁ、普段用事ないからね。

「なんでシャチがぶっ倒れてるって?」
「シャチの彼女から電話が来た…ペンギンにも電話したけど出なかったんだと。あいつは授業中かもな」

バイク止められるところが少し離れていたので、アパートに向かう道中簡潔に話すロー。キッドもなるほどな、と頷いて。

「ぶっ倒れてたらどうすりゃいい?」
「ヤバそうだったら救急車、意識あったらタクシー呼んで病院…だな」

シャチの部屋の前まできて、インターホンを数回。音沙汰しない部屋。ドアノブ捻る、流石に開かない

「……チッ」
「管理…大家に連絡とるか…シャチに電話も通じねぇんだろ?」
「ああ…それに本当にぶっ倒れてるかもわからねェしな」
「…おい、シャチ!」
「いるなら開けろ!」

ピンポンピンポン、ドンドン、ガチャガチャ。お隣さんにはご迷惑になるけど呼びかけてみることしばし。
どてっ、ガッ、がしゃがしゃ…ギ…ィイ……

「っ…あ゛い゛あ゛い゛………はれぇ゛?」
「うわ…、ひでぇ顔」
「…生きてたな」

気力を振り絞ったのかシャチが出てきました。まっすぐに立ってられないのかふらふら揺れながら逆上せているのかひっどい顔をしています。声も悪く悲惨な様でした。

「おい、お前熱は」
「は、え…う?」
「どうする?」
「タクシー呼べ。シャチお前病院行ったか?」
「ぅえ…?や、いって、らいっす…薬局の薬れ……」
「スゲー鼻づまりだな…今から病院連れてくからよ」
「15分はかからねェってよ」
「そうか。お前、タオル探してきて…シャチ、お前ちょっと着替えろ。スウェットでいいから。」

シャチが判断にぶって何が起こっているかわからない中。
身に纏っている汗に濡れた寝間着を脱がされ、新しいものに着替えさせられ、首にタオルまかれて薄手のカーディガンに厚手のカーディガンを重ねられた格好であれよあれよとタクシーに押しこめられて病院へ。
シャチを2人かがりでタクシーまで引きずって行き、キッドとシャチはタクシーで病院へ。ローは取って返し戸締り等確認してシャチの携帯や財布の貴重品をもってバイクで病院へ。

「インフルエンザでも肺炎でもねェってよ…風邪だろうって。点滴打ってるぜ…飯もあんま食ってなかっただろうし余計拗らせたんだろ」
「そうか…ペンギンからも電話あったぜ」
「シャチの彼女にも取り敢えずは無事だって言っとけ…心配してんだろ。あとお前さ、先帰ってお前のベッドシーツ換えとけ」
「?」
「シャチ、このまま家に帰してもアレだろ…取り敢えず動けるようになるまで面倒みねぇと」
「…。(渋面)わかった…ほかには?」
「そーだな…あ、水とポカリ買っといて」
「ったく、面倒くせぇやつ」
「そう言うんじゃねェよ」

ローの本心ではないのはわかってるので、キッドは笑いながらローの髪をくしゃくしゃ。

そんで、数日ローの部屋で保護されるシャチ。
点滴打って少し回復したシャチを連れ帰ってローのベッドに寝かし、キッドの作ったおかゆを食べさせ。
ローは普段からキッドのところに入りびたりなので特に困ったことはなく。翌日はキッドが、翌々日は大学のため半日ローがシャチを看つつ。
翌々日にはシャチも大分回復して、でも寝てるだけだけなので1人で平気だといい。
そのまた次の日はペンギンが様子見に来て。

「いやー…ほんとご迷惑をおかけして…」

まだ喉の炎症と、微熱があるがなんとかいつもの調子を取り戻したシャチ。

「ま、孤独に死なれるよりましだな」
「ぶっ倒れる前に病院に行け」
「いやぁ、それがまだ寝れば治るくらいには元気があったんだけど、寝てたら起きれなくなってさ…携帯死んでるとかも気が付かなくて」

10日ほど前から調子が悪かったシャチ。市販薬を飲んでよくなったり悪くなったりを繰り返しながら、あの1週間前。彼女と話したその後…薬を飲んで早く寝ようと床に就いたシャチだったけど、そのご何度か目覚めたものの朦朧として何をする気力もなく。
いつのまにやら携帯の電池も切れてしまい、1日の感覚もわからず寝て過ごしていたらローとキッドが来てくれたと言う訳でした。

こんな感じで、やっぱ持つべきものは彼女と頼れる友人と先輩だなぁ…としみじみ思うシャチ。ローは悪態吐くけど心配してくれたんだってことはわかるし(意外に手熱い看病をしてくれる)、3日目には迷惑なので自宅に戻ると言うシャチをなにかあったらまた面倒くせぇからと5日目まで軟禁したロー。
病気になれば心細くもなるし、シャチはマジで助かった…と感謝している。

そんなシャチ。今書くつもりがなかった話を書いてしまったんだけど、本当はこっちを書きたかった。
シャチは服飾の専門学校に通ってて、元の器用さ、センスを生かしてめきめきと技術を身に着けています。
簡単な裾上げや繕いなら任させくださいよー、ってことで、後々ならばロキドが同棲するとなってからカーテンの裾上げとかしてくれるんだろう。

それと、引っ越し祝いにキッドとローにリネン生地のエプロンを贈ってほしい。もしかしたらシャチは社会人になってるかもしれない。
キッドとローはシャチペンキラに引っ越し手伝ってもらって、別に引っ越し祝いとか寒いことしなくていいからな、って言ってただろうけど。
たまたま傷が入ってジャンク品となったリネン生地が手に入ったので、シャチの趣味の一環として。それからクッションカバーな。
クッションカバーは半分ロキドのリクエストだったりするんだ。こういうの欲しいよなァって。
なんとなくですが同棲前、ロキドがお隣さんだった頃のローの部屋はニトリっぽい、キッドの部屋は黒とこげ茶のジャンク品や特価品のものって感じで同棲してからは無印って感じがします。

 

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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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