こんなにゆっくり会えるのはどれくらい振りだろうか。デートして食事をするだけ、電話やメールだけ…それでも十分だったが、身体の寂しさは癒えないわけで。
翌日が休日であるその日、恋人に泊りに来いと誘った。勿論セックスだけが目的ではないが、それも含めておれも楽しみだった。


恋人を家に上げて暫く近況を語り合ったりじゃれ合ったりしていた。そのうち、そういう雰囲気に…意図して持って行った訳だが、恋人は抵抗を見せないし、目は期待の色で揺れている。
久々だから長くゆっくり楽しみたい。そう考えるのはお互いだろうが、おれはここ最近も仕入れ続けている知識を自分のものとするために試したいものもいくつかある。
恋人の首の付け根を軽く圧迫しながら唇をむさぼった。指の腹にドクドクと感じる脈と背中に縋り付いてくる恋人の手が愛おしい。

「なんだ。もしかして腹洗っちまったのか?」
「なんだって…」

キスを交わす間にプランを立てていた。
恋人の彼をを楽しませるためにおれもいろいろと、着々と準備を整えているのだ。実行するためにおれは恋人の衣服を脱がして腹を撫でた。男にしては綺麗な白い肌はボディソープの匂いが香る。
どうやら、恋人はシャワーを浴びてきたようだった。
尻を使うセックスに慣れている恋人は、おれのことも考えているのかあらかじめセックスするとわかっているときには身体を綺麗に洗い、尻の中も綺麗にしてくる。
そのお陰か、未だに恋人とアナルセックスをしていて汚れを気にしたことはなかった。

「今日はしてやろうと思ってたんだけどな」
「なっ、え…?腹洗うのを?」
「ああ。いろいろ用意したんだぜ?いちじく浣腸とか…グリセリンを買ってもよかったんだが、そこは(おれが)扱いが慣れてからがいいかと思って」
「…お前…」

セックスをするのに汚れなくて結構なことだ…とは、手放しにおれは喜べない。それは恋人がおれを思って一人で綺麗にしているからであって。おれは何度も言うが恋人とやりたいだけじゃないのだ。
全部をひっくるめて彼を愛したい。

「そう言えばあまり聞いたことはなかったが。どんなふうに腹を洗う?」
「え!?」
「え?」

裸の恋人を自分に凭れかからせて背後から乳首を捏ね回しながら聞いてみる。今まで、いろいろな経験がある恋人に様々なことを聞いてきたがこんなにうろたえたのを見るのは始めてだ。
ディルドやバイブの使い方はパソコンの使い方を教えるくらいのテンションで話してくれたんだが。

「…。ス…スカトロ…に興味あんのか?」
「?興味あるわけじゃねェけど…プレイとしてあることだろ?小便なんかお前喜ぶじゃねェか」

小便するのを見るのも、見られるのも好きな癖に、糞は抵抗があるのだろうか?そういう線引きもあるのだろうかと考えていると、乳首が気持ちいのかわざと大きくゆっくり息をしている恋人はもごもごと言葉を続けた。

「そこまで…無理しなくても」
「無理しようとはしてない。ただ、おれはユースタス屋がシャワー浴びてなくとも別に気にしないし、必要ならおれがしてやるのも構わないってことだ」
「でも…綺麗事じゃ…」
「そうだな。だが…まぁ、正直な話…ユースタス屋のことなら、なんでも見てみたいとは思うな」

ネットで調べるのは情報が手軽に入っていい、が。男女問わずにご丁寧にも未処理の画像や動画が多数出てくるのは少し困る。他人のを見ても興奮はしないが、これが恋人ならばと思うのだ。

「洗浄の仕方もいろいろあるだろう?」排泄器官を浅い部分だけ洗うとか、直腸洗浄だとか…恋人が一人でそういうことをしているのを想像すると興味も湧く。

「なぁ、今日はどうしてきたんだ?」


いちじく浣腸を2つ入れ15分以上我慢し、排泄後にポンプ式の洗浄機でぬるま湯を入れ残った浣腸液や便を流す。これを複数回繰り返し、ある程度綺麗になったところで浴室へ行き、シャワー浣腸でもう一度綺麗に洗浄し、その後身体を洗う。
それが、今日恋人が行った洗浄方法だった。
しかしこれが毎回と言う訳ではないらしい。ウォシュレトで簡単に洗う場合や、ボディソープで中の浅い部分を洗うだけなど体調や、その時々で変えるようだ。

「今日は念入りな方ってことか?」
「…ローションとかつかうなら、やっぱ腹ン中ある程度からっぽの方がいいし…あと、やる時間が長いと…とか、いろいろ」
「なるほどな」

恋人の身体を撫でまわしつつ、バカ正直に真面目に恋人の話を聞いてた。探究心は強い方だと自覚がある。
勉強も嫌いではないから自分の知らなかったことを覚えるのはいつでも新鮮な気持ちでいた。

「正直に言う」
「…?」
「『でっかいお注射しましょうね』を、現実にやってみたい」




・次回へ


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