「ユースタス屋ァ、今日こそ良い返事を聞かせてくれねェか?」
「断る」

もう何度目になるだろうか。トラファルガー・ローは敵船の船長であるユースタス・キャプテンキッドに一目惚れをしたとかどうとかで今日も今日とてしつこく言い寄っていた。
飄々とした態度でキッドに突っ掛かってはバサリと突っ撥ねられ、その都度子供のように不機嫌に顔を歪めるのだが。

「何故だユースタス屋…こんな良い男に言い寄られて断るとは正気の沙汰じゃねェ。見ろ!顔も良し!スタイルも良し!凡てに置いて文句の付け所なんてねぇだろ…!!」

キッドに向かい一々ポーズを決め自分をアピールするローを両船の船員達は『その自己愛の強さ(ナルシー)さが残念』とも口出し出来ずにいるのだが。

「答えろユースタス屋!俺の何がいけねぇ!?」
「あぁ"?全部だ」
「ぜっ…」
「隈、喋り方、声、何よりだ!!髭に喉仏、背の高さ!発達した筋肉!!許せねぇ……!!」
「……ハァ!?」

ビシッと指をさし熱弁するキッドに呆気に取られローは思わず裏返った声を上げる。

「それに…テメェいくつだ!」
「に…26…です」
「アーウトォオオオ!!」
「……!!?」(ビクッ)
「最高でも15迄だ!よってテメェは論外!分かったら髭面を近付けんな低い声で喋んな失せろ」

バッサァ!とコートを翻しキッドは背を向け去って行く。

「………」

ローは石のように固まり今にも泣きそうな情けない表情でその背を見送った。


propensity



「で、どういうことなんだ?ありゃ」
「…キッドは、あぁ…口に出すのも恥かしい…、キッドはび…美少年愛好家、だ…」
「…」
「15歳以下の声変わりしてないムダ毛も無い、そう言うのが好みらしい」
「…」
「特に…下の毛も生え揃ってないようなのが……」
「お互い、苦労するな」
「……違いない」





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