トリップ主がトリップする理由 | ナノ

▽トリップ主がトリップする理由  神にヤンデられてるからです


暗い暗い、ここがどこかも分からないような場所で、唯一たよりになるのは自分だけで、しかしそれすらもどこから伸びてきているのか分からない鎖に繋がれていて、身動きがとれなかった。からみつく銀の鎖が冷たくて、まるで氷のように感じた。もうわけがわからなくて、でもまあこれはきっと夢なのだから、どうにかなるかなと、諦めのような感情にまかせて頭を垂らす。重力はあるようで、日本人のものである黒い髪が垂れて、視界に入った。不思議なことに、この空間と同じ黒なのに見えた。はやくはやく目が覚めればいいのに。はやくはやく!足をぶらぶらさせていると、私とは正反対の白が見えた。目の前に降り立ったそれに、どこか恐怖を感じた。



「君のそれは諦めじゃないね?」



まだ変声期を迎えていない男の子のような声が響いて、でもそんなことは今の私には関係なくて、ただその存在に私は怖くなって、自分の足を見つめるように俯いていた。
得体のしれない存在なのに、私の世界に干渉してきているのが、怖かったのかもしれない。



「平凡で平凡で、どっかの馬鹿みたいに非凡を求めているわけでもなく、体も顔も頭も、心の強さですらなにもかもが普通のくせに、達観したような目で世界を生きてる」

「………」

「ほら、今もそうやって黙っていれば、この状況を切り抜けられると思ってる。なんて平凡な人間の考え方だろうね。」

「………」

「君みたいな平凡が、どうしてこの世の真理を知りえるのか。絶対の存在であるはずの僕はそれだけが理解できないんだ」



得体のしれない存在は、私の顔を覗き込んだ。口が歪んで笑顔を作っている。なにが楽しいというのだろうか。それは髪から服から、身にまとう全てがまっしろなものだった。そしてどこか異質だ。生憎私はこの世の真理なんてたいそうなものは知らないし、学校の授業でも習ったことがない。白いそれは、まるで私の心が読めているかのようにかぶりを振って、また口を歪めた。この真っ暗な空間の中で、唯一白いその存在が怖い。



「おかしいと思うから、平凡で始まって平凡で終わるはずの君の人生を、僕は狂わせるよ。でないとつり合いがとれないだろう?納得できないだろう?」







「僕だって、知らないのに」
「私だって、知らないよ」



そこで初めて声を出して、目が覚めた。悪い夢だ。
そしてその日に自分がめった刺しにして殺されるなんて、誰が思っただろうか?










……………
あとがき的な伏線回収

我が家のトリップ娘いろはちゃんが殺される朝の話です。
非凡を求めるどっかの馬鹿=どっかにいる逆ハー狙いのミーハー女
つまりこの神はどっかにいる逆ハー(略)をトリップさせたことがあるんですねー←

この神様はいろはちゃんがこの世の真理を知っているのに、普通なことが納得いかないんですね。
見ているものは普通じゃないのに、本人はそれ以外なにもかもが普通であることが。
でもいろはちゃん本人はこの世の真理ってなにソレおいしいの?みたいな感じです。
しかし彼女は他の人間とはちがった考え方を持ってるわけです=この世の真理に相当すると
いろはちゃん自身は自覚なし。
これからこの神様はいろはちゃんにヤンデれていきます←

神様はそんな矛盾してるいろはちゃんの存在に納得がいかないから、トリップさせて存在も非凡にしちゃおう!という魂胆です。



え?もちろん俺得設定ですがなにか?(殴



















人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -