私は、私達はこの並中で成長していった。私の場合、たとえ身長は2、3センチほどしか伸びていなくても、精神的に、昔がまんできなかったことが今はがまんできるだとか、そういう成長は望ましかった。そう、誰もがみんな成長している。中には一年生のときには私より身長が低かった男の子が、今は私の背を越しているだとか。みんなみんな成長していって、いつかは今を旅立つ日がくるのである。最近しみじみそう思うことが増えて、なんだか寂しい。ものすごく、寂しい。





学校の校門をくぐると沢田の後ろ姿が見えた。他校からの転入生である古里くんたちといっしょに笑っていて、とてもにぎやかだ。そして沢田の隣には決まって笹川さんがいる。相変わらず今日もかわいい。まだ私達が一年生であったころの途中から、沢田と沢田を取り巻くなにかは大きく変わったようだった。いつもダメダメで会うたびに諦めた表情をしていた彼は、今となっては見ることがない。本当に毎日が楽しそうで、とてもすばらしいことのはずなのに、私は笑えない。あの人たちは笑っているのに。ああ私って嫌なやつだな。溜息をつきながら沢田たちの群れを小走りで通り過ぎた。彼は、私に気付かなかった。





沢田の周りにはどこか特別な人たちが集まる。普通ではないのだ。雰囲気が、どことなく違う世界の人間みたいで。同じクラスメイトのはずなのに、取り残された私の入る隙間なんてなくて、それが何故か悔しくて。笹川さんがうらやましかった。だって彼女もあの人たちと見えない何かでつながっているのが分かるから。まるで友達を取られて駄々をこねる子供の様だな私は。精神面なんて実際まったく成長していない私は周りに置いて行かれて悲しむだけ。きっと彼の未来には彼女が寄り添うのだろう。すごくお似合いな未来が私には容易に想像できた。ああもうこれ以上私を醜くさせないでなんて結局のところ他人のせいにしている。本当に最低。それでもせめて、これからもさらに成長してみんなから認められていく彼の邪魔にならないように、私は彼を忘れる。







変わっていくみんな、変わらない私。置いてかないでなんて言えないけれど、お願いだから置いてかないで。







つづく