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絶望とはいかなるものだろうか。そんなもの自分は体験したことはないし、したいとも思わないし、これからも絶対にないだろうと



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アルファルトには血だまり。私が作った血だまり。私が彼女の首を切って作った血だまり。私が通うはずだった高校のセーラー服は血に濡れ、リボンは赤黒く染まっている。暗い部屋に唯一光が差し込む窓から見えた彼女の姿が憎かった。本当は私がその位置に居るはずなのに。不合格者がいるから合格者ができる。なら合格者がいるから不合格者ができるという単純な話なのだ。じゃあ合格者が一人いなくなればその分私が合格者になれる?ああなんてすばらしい世界なんだろう。そうなったらいいなあ。理想は現実にすべきものだから理想なのである。だから殺した。いまはもう血を流すことしか脳のないこいつの代わりになれば世界がもっとすばらしいものになると思ったから。そうすればみんな幸せ私も幸せになれるんだよ。だからなんで分かってくれないの。その方が絶対に良いに決まっているのに、なんでそんな真っ青な顔をしているの。不安なんてなにもない。私が世界をきれいにしたんだからそんな顔しないでよ。なんで私が地面に這うことになっているの。ふとっちょの警察が私の上に乗っているから。そうねあなたも私の世界を侵すゴミなのねだからみんなは顔を真っ青にしているのね大丈夫ぜんぶぜんぶ私がきれいにしてみんなハッピーの世界をつくってあげるわ!そんな世界を想像したら自然と笑いが込み上げてきた。止まらない。首からだらだらと惨めに血を流す女の瞳はまっくらで何も映っていない。その代わり鏡のようになって地面に這う私を映していた。それがムカついたから手に持っていた血ぬれのナイフを再びあの女に投げてやった。ぐしゃり。顔が潰れたわ。あはは、ウケる。



とある少女aの独白



(とろけゆく絶望)