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「やった、やったわ!死ねしねしね!これは罰よ。あんたたちのクソみたいな高校なんて潰れてしまえ!私を不合格なんていう三文字でくくれると思うなよ!あは、ははははは!!!」



黙っていれば永遠に続きそうな甲高い笑い声なので以下略。女は目を血走らせこの世のものとは思えないほどに顔を歪めている。例えるならホラーゲームに出てきそうなものだった。そして女はそのへんにたまたま居た警察に取り押さえられて地面に這うことになった。なんて惨めな。しかしどんな惨めな姿になろうと女の笑い声は響いてやむことを知らない。私を刺した女は―――



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私は刺された。正確に言えば首を横一直線にかっ捌かれた。最期に見たのは親友である友の真っ青とおりこして真っ白な顔。最期に聞いたのは名も知らない女の笑い声。私は名も知らない女に殺された。普通に友と歩いていただけなのに。放課後の疲れた体を癒しにめちゃうまいアイスクリームを食べに行こうと話していただけなのに。恨まれる覚えなんてないのに。しかし私が死に物狂いで勉強して合格できて通うことになった高校の生徒であるということだけで女にとっては十分すぎるほどの抹殺対象らしい。なんて理不尽な。なんて殺生な。女の世界にとって私なんてそこらへんに居る蟻と同等の価値だろうに。私のせいで女の未来はまっくらだろう。きっとお父さんとお母さんが裁判に勝って女の刑を無期懲役とかにしてくれると私は信じてる。私を殺した女ざまあ。まあ私なんてお先まっくらどころか15年という短い人生を強制終了させられたわけだから無期懲役なんて軽いもんだよね。だって私は死んだのだから。ミミズだーっておけらだーってーあめんぼだーぁってーみんなみんなー生きているんだ友達なーんーだー。私、死んでる。死んでるよね。あれ、じゃあなんでこんな独りごと、あれあるぇ?



(生きたがりの死体)