8.鬼ごっこ


「!いましたよ10代目!!」


『!』




保健室に入って来たのはあの三人組だった。



『ミャ!』



シャマルをチラッとみた後にナナは上手い具合に獄寺の足の間をすり抜けて廊下に出た。



「おわっ!?」


「あ、逃げちまった。」


「追いかけよう!」


『(なんなのだこいつらは――!!)』




小さな足で全速力で廊下を走り抜ける。
その後ろを追い掛けてくる三人の男。
第三者から見ればまるで鬼ごっこをしているみたいな光景だった。










――――――


あのあと何時間も逃げ回っていたナナは屋上にいた。




『ミャウッ…』



時間は昼頃になっており、その間逃げて走り回っていたせいか喉はカラカラで足は重い。
おまけに体毛もボロボロだ…。




『ハァ…ハァ……』



息も荒くなって疲れ果てていた時に後ろの気配に気付くことが無かったナナの身体がふわっと浮く。



『!!』


「つ、捕まえたー!」




バッと後ろを見ればススキ色の髪をした奴が嬉しそうに私を抱えていた。



「やったっスね!流石10代目!!」


「やったなツナ!」



更にその後ろからは目つきの悪い男と背の高い男がこいつと同じ嬉しそうな顔をして近付いてくる。





『シャーーーッ!!!』


「わっ!あ、暴れるなよ!(焦)」



腕の中で鋭い爪と牙を出して威嚇するが届かない。キョーヤ以外の人間などの腕の中にいたくない!!!



フッーフッーと威嚇していると後ろから首筋を掴まれその腕の中から離れる。
首ねっこを掴んでいる奴を見るために視線を後ろにやると目つきの悪い方が私を掴んで宙ぶらりにしていた。




「おいコラ!10代目になにしてやがるッ!!」


『ニ"ャアアァァアーーーー!!!(怒)』




貴様こそこの私を宙ぶらりにするなど何様だッ!!?!


手足をバタつかせ暴れていると
なんて暴れ猫だッ!!と叫んでいた。




「なんかこの猫、かなり人に慣れてないね。」


「全く、可愛いげのない猫だぜ!」


「そうか?真っ正面から見ると結構可愛いぜ?」



暴れるのも疲れたのかもはや本当に宙ぶらりんにされているナナを真っ正面から山本は見る。それに続きツナも見てみるが確かにかわいい。


真ん丸な黄金の瞳に毛の色はそこらを探してもそう簡単にはいない、銀の混じった薄紫色。




『ミァー(キョーヤ…)』


「え?」



何か声が聞こえた気がしたが周りを見渡しても自分達以外誰もいない。
おかしいな、と首を傾げていた所に獄寺君が口を開く。




「10代目、この暴れ猫どうします?」



首ねっこを掴まれたままススキ色の髪をした10代目と呼ばれている男の前に出される。



「ちょ、獄寺君、もう少し優しく持った方が…」


まだ子猫だし…




「いーえ10代目!こいつ腕に抱えた途端噛み付きます!!」



ぐいっと子猫を見せられるとシャキーンと爪を出して構えていた…。




「………。」



「でもツナ、捕まえたはいいけどどーすんだこの猫?」



ひょこっと俺の肩から顔を出して子猫を指す山本にリボーンの言葉を思い出す。




「どうするって、リボーンからはただ捕まえろとしか言われてないし…。」


「ならそいつ俺にくれないか?」


『!?』


「えぇ―――!?」




山本の爆弾発言にはナナだけではなくツナも驚いていた。
当の本人はにこにこしてツナとナナを見る。




「だって山本、大丈夫なの?この猫かなり狂暴だよ?」


「ははっ、今はそうかもしれねぇが慣れれば大丈夫だって!(笑)」




どんどん話を進めていく彼等に私は冷汗を流す。



じょ、冗談ではない!!私はキョーヤのモノだ!!!キョーヤ以外の奴の所へなど行きとうない!!







キョーヤッ!!!







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(ケッ!こんなじゃじゃ馬の猫の何処が可愛いんだか!)

(ナッ――――!!怒)

―ベシッ

(いってぇ!!こいつ尻尾で顔叩きやがったッ!!)

(なんか仲良いな獄寺と猫!笑)

(違うと思うよ山本…)



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