49.視線の先。




『………。』



応接室の窓に寄り掛かり外を見ていた。




今日は並盛中の体育祭だ。いつも以上に群れをなしている人間達。



そんな群れをぼんやりと見ながら、夜依は昨日の事を思い出していた。







――――――





『あの人がッ…日本に来ているのか!?』



いつも無表情な夜依が動揺して叫ぶ。
その姿を目の当たりにしたリボーンはやはりな、と帽子を目深く被り続きを話し出す。





「あぁ…。アイツ、お前に会いたがってると思うぞ……会いに行ってやらないのか?」









あの人が………私に会いたがっている?



まさか、な。



自分の甘い考えを否定するため緩く首を横に振る。



大体!!リボーンの奴、あの人が日本にいるとゆうことだけを言い、日本の何処にいるかとかは言ってないから会いに行ってやらないのかって言われても、行けるかぁッ!!!!




拳を強く握り締める。





……確か…最後に彼に会ったのはもう……七年も前になるのか。





「夜依?」


『!』




外に向けていた目線をハッと声の主の方に流す。声の主、雲雀を見れば片手に書類を持ち扉の前で立っていた。




「どうしたの?ぼっーとして。」


『いや……』




雲雀の呼びかけに意識が戻る。


いかんいかん…
どうも自分はあの人の事になると視界が狭くなる……。
これも全てあの憎たらしい赤ん坊、リボーンのせいだっ!!





眉間に皺を寄せてドス黒いオーラを放つ夜依に雲雀は何があったのか気になっていた。
けど彼女は決して自分の事を話たりはしない。
過去の事や、彼女がしているとゆう任務や仕事の事も…。




「……。」



雲雀は先程のことを思い出す。
自分が応接室に帰ってきた事に気付かず、窓の外をぼんやりと眺めていた夜依。


昨日学校から帰って来てからだ。彼女があぁやって上の空になったのは。




「…何見てたんだい?」


あえてそれには触れないで夜依がぼんやりと見ていたものに触れる。
夜依の隣に立ち顔を伺いながら。




『あ、あぁ…今日は賑やかだと思ってな…。』



隣に来た雲雀に夜依はまた窓の外を見遣る。相変わらずにぎやかで、五月蝿い奴らの群れの集まり…。



その中である一つの場所を夜依はじっと見ていた。





彼女の視線の先には三人の姿。

一人は鼻にバンソコウを貼り、誰よりも気合いが入っている男。
もう一人はその隣で楽しげに笑っている髪の短い茶髪の女の子の姿。
そして最後の一人は、
気の弱そうな、ススキ色の髪をした男の姿があった……。




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(……―――、)


(何か言った?)


(いや…なんでもない、気にするな。)



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