47.極限VS舞神子。




リングに上がり、腕を組む。



『で?ルールはなんだ。』



ボクシングなどやったことの無い私はルールを聞く。



「ルールは簡単だ!どちらかが参ったと言うか!相手にKOさせればいいのだッ!!」


『ふぅん。』


「ではこれを着けてもらおう!」



差し出されたのは目の前にいるこいつが拳に嵌めている物の色違い…。



『…いらないよ。』



プイッとグローブから顔を背けて笹川に背中を向けてしまった夜依。


あんな馬鹿げた物、誰が着けるかッ!!!




「何ッ!?グローブを着けずにだと!」



ボクシングをやる上でグローブとは必要な物。
相手の攻撃を防御でき、こちらからも攻撃が出来る。それをいらないと言う夜依に了平は叫ぶが、





『何か文句ある?』



微妙に殺気の篭った言葉に一同は何も言えなくなった。




『さっさと始めるよ。私も忙しい…。』


「うむ!では、パオパオ老師!」


「パォーン」


「またお前何処からそんなものをッ!?」




パオパオ老師に変装したリボーンにツナが突っ込む。




『(………くだらん。)』


「それでは開始!」



完璧そのパオパオ老師とやらに成り切っているリボーンは試合開始の合図のベルを鳴らした。
ベルが鳴ったと同時に了平は腰を低くして夜依に向かって来る。




「極限ッ!右ストレート!!」


「(い、いきなり極限技―――!?)」




笹川了平の強さを身にもって体験しているツナは初っ端からの極限技に顔を青ざめた。
しかしツナの心配を余所に夜依は構えずに学ランを靡かせただ立っているだけ――。




「あぶなッ……」



了平の右拳が振り出されて危ない、と言うつもりだったが夜依はその右拳を左手で軽々と受け止めたのだ。



「なっ!?」



もちろんそれに一番驚いたのは笹川了平自身。
勝負をする上で相手に本気を出さない、手加減をする、とゆう行為は相手を侮辱しているも同然な行為…。



だから手加減などしていなかったはずなのに自分の拳をこうもたやすく受け止められた事…それがましてや女子だとゆう事実に驚きだった。



驚いていたのは了平だけでなく、リボーンとビアンキを除くツナと山本と獄寺は驚いていた。




「あ、あの笹川先輩の拳を受け止めた…」


「さ、流石闇市さんだぜ!!!」


「あの極限な技を…」




リングにいる二人を見て驚きに満ちた目で見ているとリボーンがツナの肩でいかにも楽しげに口を開かせる。



「次は夜依の番だぞ。」



その言葉にゴクリと喉を鳴らせる。






『次は私の番だ…。』



目を細めた夜依は了平の拳を受け止めていない方の拳を握るとそのまま了平の腹部に一撃を入れた。




「ぐぁっ!!」



ドカッとリングの外にまで弾かれた了平にツナが駆け寄る。




「お兄さん!だ、大丈夫ですか!?」



目の前で腹部を抑えて痛みに耐えている了平にツナはヒヤッとした。





たった一撃で、お兄さんを倒すなんて……





「一撃じゃねぇぞ。」


「リボーン!またお前俺の心を………え?」



また読心術を使って俺の心を読んだリボーンに怒りを覚えるがふと冷静になる。




「一撃じゃないって……。」


「お前達には見えなかっただろうが夜依は了平の腹に二撃は入れてたぞ。」


「えぇ―――!?」


「まず一撃目は了平の腹に入れた拳の二関節、つまりは指でいう二関節の事だな。そして二撃目はそのまま二関節を下にした全拳の一撃だ。」



得意げに話すリボーンにやはり夜依さんは強い、と思った。
女の子なのに、何故彼女は強くあろうとするのかな……








『ふぅ…もう用はないだろ?私は帰る。』




これでやっと付け回されないで済む、と考えているとリング外で倒れていた笹川が起き上がり先程とは違った燃えるような目で私を見ていた。





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(何故かまた嫌な予感がした……)



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