46.その言葉の意味。
…………こない、はずだったのに。
「待っていたぞ!闇市夜依!!」
リングの上では現にグローブを嵌め、スタンバイをしている笹川。
来たくは無かった…だが、
「笹川了平はボンゴレのファミリー候補だ。」
先程廊下でリボーンと会い、それを聞かされた。リボーンがこいつをボンゴレファミリー候補にしたとゆう事はそれなりの実力者か、期待出来る力の持ち主か、だな。
だからこいつと戦うことを選んだのか……
それとも、
何処か、彼に似ているその目に興味が沸いたのかもしれない…。
真っ直ぐで、一行の闇が無い、その綺麗な瞳に……。
『…で?この群れはなに?私に喧嘩売ってるの。刻むよ。』
「ちちち違います!!」
首が取れるんじゃないかとぐらいに首を横に振る沢田に溜息が出る。
この部屋には私に戦いを申し込んだ笹川に沢田、獄寺、山本、リボーン、そして制服ではなく私服を着た同い年か一つ上ぐらいの女がいた。
『(あいつは……)』
何故かゴーグルをして顔を隠しているが何処かで見たことのある顔に視線をやっていると彼女の二の腕に目がいく。
『!ポイズン・クッキング……毒サソリか。』
「貴女…闇の舞神子!!」
向こうも私に気付いたのか目を大きく見開かせこちらを見ていた。
「ぇ、ビアンキ、闇市さんの事知ってるの!」
名はビアンキとゆうのか。確か奴はスモーキン・ボムの義理姉。
視線を奴らからリングにいる笹川に戻す。
「さぁ勝負だ闇市夜依!!」
ハァ、とまた息を吐いてからリングの中に入ろうとするが毒サソリと話ていた沢田が慌てた様子で私の側に来る。
「あ、あの闇市さん!!本当にお兄さんとやるんですか!?」
『(お兄さん?)あぁ。何故かそうゆう話になってな。私自身、奴の力に興味がある。』
「そ、そんなぁ!闇市さん!あ、あの……」
顔を青白くさせ、何かを言いたいが言えない、とゆう顔をしていたがその何かを察した。
『安心しろ。殺しはしない。ただ奴の力を見るだけ。大怪我なんかさせないよ。』
そう言うと安心したかの様に良かった、と口漏らしていた。
もう用は無いな、とリングに入ろうとするがまたもや沢田の声に止められる。
『なんだ…』
「あ、あの…」
「お兄さんもそうだけど、闇市さんも怪我、しないで下さいね。」
『……、…。』
「俺は、闇市さんにも怪我はして欲しくないです…。」
な、何言ってるんだ俺!?と沢田は顔を赤くさせたりまた青くさせたりしていた。
『……―――。』
「ぇ―?」
『う、うるさいッ!//
き、貴様なんぞに言われずとも私が怪我なんぞするか!!』
キシャー!と猫が威嚇するみたいに毛を逆立てる夜依にツナはギャアァァァッ!!と騒ぎながらリボーンや獄寺達がいる方にへと戻って行った。
『…ふんっ!!』
こ、怖かったーー!!!(泣)
お兄さんが闇市さんと入部を賭けて試合をするという話をリボーンから聞き、慌ててボクシング部に山本と獄寺君の三人で行ってみた。
中に入るとそこには京子ちゃんのお兄さんとリボーン、そして何故かビアンキがいて…。
そして暫くしてから闇市さんが部屋に入ってくる。
俺はリングに上がろうとしていた闇市さんを止めて、本当に戦うのかと問う。
彼女はお兄さんの力に興味がある、大怪我はさせないと言っていた。
良かった、と思うと同時に、闇市さんの言葉が悲しかった。
「ツナ?」
山本が心配気に俺を呼ぶ。
「どうしたツナ?」
「な…なんでもないよ!あ、そろそろ始まるね!」
「……。」
ツナと山本が話ているのを聞いていたリボーン。山本がそうだな。とツナから離れた隙にツナの肩に飛び乗る。
「わ!なんだよリボーン!」
「夜依の事か?」
「…!………さっきさ……闇市さんに、本当に戦うの?って聞いたんだ。」
「…。」
「闇市さ………夜依さんは、大怪我はさせないって言ってくれた。」
「お前にとって嬉しい話じゃねぇか。」
嬉しい…うん。確かに嬉しいよ。お兄さんが怪我したら京子ちゃんが悲しむし、京子ちゃんが悲しむと、俺も悲しいから。
でも、夜依さんにも俺は怪我なんかして欲しくない。
お兄さんは強いし、夜依さんも強い。
だけど怪我はしないなんて保証は何処にもない…。
「お前、夜依の事信頼してんだな。」
「当たり前だろ!あ、言っとくけどボスとしてとかそんなんじゃないからな!?先輩として、だ!」
顔を赤くして叫ぶツナ。ツナ、お前があいつを信じてやれ。
何があってもだ。
お前なら、あいつの闇を照らす、大空になれるかもしれねぇ。
「その気持ちを忘れるなよ…」
「?何か言ったかリボーン?」
ぼそっと小さく言った言葉はツナに届かず、何でもねぇとリボーンが言う。
「で?ツナ、結局何が言いたかったんだ?」
「……俺、夜依さんに信頼されてないんだな…って。」
夜依さんは……
俺が夜依さんがお兄さんを殺す、と思ってたんだ。
だから、殺さない、なんて言ったんだよね?
夜依さん…。
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(それは、まだ彼女が俺を信用してくれてないとゆう悲しい言葉だった…。)
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