45.極限に生きる男。




「闇市夜依!!極限にボクシング部に入部しろー!!」





…………今日は厄日か?




朝からろくな事がない。不良の次はこの馬鹿か…。




学校に着き、門を潜ろうとするが後ろで迷惑な事に人の名前を大きな声で叫ぶ男子生徒。



くるりと声の主を見るとそこには仁王立ちして拳を強く握っている、いかにも体育系の奴がいた。



「闇市夜依!女にしてボクシングに向いている奴を見たのは初めてだ!!」


『………誰?』


「む、そういえば名乗ってなかったな…。」



なんなんだ、この男は、と見ていると




「俺はッ!並盛中二年!笹川了平!極限に生きる男だ―――ッ!!!」


『…………。』




彼に向けていた身体を前に戻して門を潜る。
それを後ろにいた笹川は慌てて掛けより彼女の前に立つ。



「無視をするな!」


『邪魔だよ。』


「ボクシング部に入れ!」


『…なんで私に纏わり付く…。』



ハァと深い溜め息をつきながら腕を組む。
何故こいつはそんなにも私にボクシング部に入れようとする?
ましてやこの男とは初対面だ。




「俺は見た、そして感じた!お前こそボクシング部に入るべき人材だと!!」







お前は一体、何を見た…





?見た……ボクシング…………



腕を組んだまま少し考える。見たとあいつ言っていた…もしかして……





『あの時、感じていた視線はお前だったのか。』


あの時、とはつい先程不良を倒していた時だ。
確かに視線を感じていたが悪意を感じられなかった為、放っておいたんだけど…。




「あの時は妹を助けに行こうとしたら先にお前が行ったのでな。あまりの凄さに動けなかったぞ。そして極限に妹を助けてくれた事に礼を言う!!」


『…妹?』


「あぁ、茶髪で髪の短いのが俺の妹だ!」


『……笹川京子。』



確かに苗字は同じだが…………




『似てないな。』



そう言えばショックを受けたように顔を歪ませる。
そんな事はどうでもいいけどなんで私がボクシング部とやらに入らなくてはならん。
第一こいつは馬鹿なのか?私の格好を見れば風紀委員だと分かるだろ。
賢い奴は風紀委員に関わろうとせず、避けていく。群れるのが嫌いな私には最適な場所だ。
なのにこいつはなんで私と群れようとする。




『君、私は風紀委員なのだが?』


「む、そういえば学ランを着ているな。だがボクシング部に入るのにそんなものなど関係無い!!」




こいつ馬鹿だ…



何処か遠い目で見ていると目の前では嬉しそうに顔を緩ませるこの男。



「今年は良い人材ばかりだな!沢田ツナといい!」


『…沢田?』


「沢田を知っているのか!」


『……不服だけどね。』



そう、不服だ。
好きで沢田の側にいる訳ではない……しかし、何故こんなにもあいつの事が気になる?
次期ボンゴレ十代目とは縁の遠そうな奴だ。



だが、そんな奴の側にリボーンは今だいる。
今の私がそうしているように……。
やはり沢田綱吉とゆう男には何かあるのかもしれないと思うが…私の場合は、リボーンとは違った物で彼を見ている…そんな気がしてならない。



彼はただの次期ボンゴレ十代目候補であり、
私が九代目に依頼された護衛をする者だ。
護衛される者と護衛をする者。
それだけだ…。


これ以上考えると何か恐ろしい答えになりそうな気がして目を閉じて考えも中断させた。




「では決まりだな!」


『…は?』



何が決まりなんだ?
急に話を進めている目の前の馬鹿に私は着いて行けない。


いや、着いて行こうとも思わないが…。




「では放課後!勝負して俺が勝ったら極限にボクシング部に入部してもらうぞ闇市夜依!!」


『ちょ、待ちな!私がいつそんなことを……』




と、言っている間にも奴は足を走らせ校内に入って行った……。






だ、誰が行くもんか!!!!(怒)





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(夜依、遅かったね。)

(今日は厄日だったからな。)

(?)

((私は行かん!絶対に行かないからな!!怒))

((なんか夜依機嫌悪い…何かあったのかな。))



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