44.並盛中の女子生徒。
昨日は遅くならないように任務を早めに終わらせて帰ったお陰か、雲雀は機嫌が良かった。
雲雀は今朝から風紀の仕事があるとのことで一時間程前に一足先に学校に向かい、私は普段通りの時間に学校に向かって応接室に向かう……はずだったのだが……
「ちょっと!何なのよアンタ達!」
ハァ、と溜め息を着いてから怒鳴り声が聞こえる方を見れば並盛中の制服を着た女子二人に他校の不良三人が絡んでいた。
一人の女子は不良の一人に捕まっており友達であろうもう一人の女子は残りの二人に邪魔され助けに行けないらしい。
「花!…離して!」
「かっわい〜ね君!中学生?」
捕まってる女子は眉を下げて困っているのに対して男はしつこくちょっかいを出してくる。
…並盛が乱れているな。
目の前にいる黒髪の女子の肩に手を置き後ろに下がらせる。
「!?」
『おい。』
「あぁ?」
『嫌がっているから離しなよ。』
黒髪の女子と不良二人の間に入って睨み効かせる。すると後ろにやった女子が何やら騒いでいたが知らん。
「ちょ、ちょっと貴女!危ないよ!」
『自分の身を守れない奴が言うな。』
「それはあんたもだろ?」
不良の一人がそう言っている中もう一人は口笛を吹いて「めっちゃ俺好み」とか言っていた。
『引く気はない、と?』
「はッ!強がった女が何を言って…」
「!お、オイ!この女が着けてる腕章…」
左腕に付けている腕章に目が行くと顔を青ざめ後退りする二人。
けどもう遅いよ。
『なら刻んでやる、よ!』
言葉と同時に廻し蹴りをくれてやると目の前にいた不良は呆気なく倒れる…。
軽く肋骨にヒビを入れてやったからそう簡単には動けないだろ。
「な、なんだテメェ!!」
仲間が倒されて焦っているのか声が吃っている。
『並中の風紀委員だ。』
その言葉と共に女子を腕を掴んでいた奴の顎下に拳を入れてのけ反ったところを腹部に肘を入れて後ろに吹っ飛ばして刻んでやった。
『この町を汚すような事は私が許さない。』
ドンッ!と後ろに効果音が出てるような勢いで倒れているゴミにそう言って女子二人に向き直ると二人は目を見開いた状態で私を凝視していた。
あまり人にじっと見られるのが苦手な私はそのまま去ろうと彼女等に背中を向けた瞬間、
「あ、あの!!」
呼ばれて立ち止まり、顔だけを後ろに向けると黒髪の子より一歩前に出て私を呼び止めた茶色髪の子がいた。
『…なに?』
「ありがとうございました!!」
頭を下げてお礼を言う彼女。
我に返ったように黒髪の子もハッとして慌てて頭を下げていた。
「私達、本当に困っててどうしたらいいのか分からなかった……でも、貴女が助けてくれました。本当にありがとうございます。」
『!』
茶色髪の子はふんわりと頬を赤く染めながら柔らかく笑う。
誰かに、心の底からお礼を言われたのはあの人を除いてマフィアの世界に入ってから初めてだった…。
『//別に……。私が奴らを刻んだのは並盛の秩序を汚すような行いをしたからだ。』
「それでも、助けてくれました!」
にこにこと笑いながらそう言う茶色髪の女子。
………なんて、綺麗に笑う子なんだ…。
『…君達並盛の生徒でしょ。遅刻したら大変だから早く行きなよ。』
「いけない!行かなくちゃ…。あの、私笹川京子っていいます!助けて頂きありがとうございました。花、行こう?」
「あ、うん……あの。」
笹川という女子の隣にいた黒髪の子が私の近くまでくると頭を下げてきた。それを不思議に見ていると、
「私は黒川花っていいます。京子を助けてくれてありがとうございました!」
『……さっき言っただろう?君達の為じゃない。』
「京子も言ったように、実際は助けてもらいましたから。」
何をそこまで嬉しがる。君達の為じゃないと言っているのに……。
良く分からない…。
そのまま二人は挨拶をしてから学校の方に向かって走って行った。
その後ろ姿を見てから私も応接室でふて腐れているであろう彼の元へと足を運ばせる。
まさか、あの時感じていた視線があ奴だとは知るはずもなく…。
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(花!あの人とっても綺麗な人だったね!)
(そうね…)
(どうしたの?)
(いや…(あの格好…なんだかいつも嫌でも見ている感じがしたんだけど…))
(また会えたらいいね。)
↑
不良に言った『並中の風紀委員』とゆう言葉は京子と花には聞こえていなく、不良にしか聞こえない音量で言ったので二人はまだヒロインの正体に気が付いていません(^^)
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