43.貴方と私の運命。




家を出てふぅと溜息を零す。



先程頬に落とされた一瞬の温もり…。



イタリアではそれは挨拶として日常茶飯事の事。しかし私はその挨拶の仕方が嫌いで誰ともそうした挨拶をした事が無かった………










あの人を、除いては…。




頬に指を滑らせ昔を思い出す。
そこでふと思考が擦れて、




『………それにしても雲雀の奴…外国の挨拶の仕方を知っていたとはな。』




色々と勘違いをし、ヒバリの想いが彼女に伝わる事は無かった。




家の前で立ち尽くしていると風が吹いたと同時に肩に来る重みとバサッと何かがかさ張ったような音。




『…来たね。』


―キィィィ



肩に舞い降りて来たのは私の相棒――鷹のスノウだ。
スノウは普通の鷹より二周り身体が大きく、人語を理解するとても賢い鳥だ。そんな彼の役目は仕事の依頼や情報を私に運んでくる事。



そして今私がここ(外)にいるのも、彼が私を呼んだから。




頬を撫でてやると目を細めて私の顔に顔を擦り付ける。




『スノウ、奴が動き始めたんだな?』




そう聞けば小さく頷くスノウ。



『そう……―――――じゃあ、行くよ。』




ここから私情から仕事に……切り替わる。
瞳を閉じると肩にとまっていたスノウが翼を広げ夜の闇の中に消えて行く。





『……行くか。』




目を開けて脚に力を入れ屋根に飛び乗る。


その動きはしなやかで夜の闇の中で屋根を走って行く。





今回の任務は裏でボンゴレや他のマフィアの情報を売っている奴の抹殺だ。








「お前には、出来れば………」




屋根の上を走りながら頭の中の何処かで、あの人の声を聞いた気がした。












「出来れば……お前にはこの道を歩んで欲しくない…俺は、そう思っているんだ。」






そう言って、貴方は哀しみの秘めた目で私を見て言うんだ……。





だけど、






『私は、もうこの道から抜け出せない。』






これは、生まれ持った私の―――運命。





あの人が自分から運命に従ったように、私にも………あるんだ。




一族の血が私の中に流れている限り、私はその運命から逃れられる事は決して出来やしない。





だから今日も私は闇に染まり、






「ま、待ってくれ!」


『愚かな奴だ。ボンゴレを敵に廻すとは……』


「殺さないでくれよ!!」




そして血にも染まる。





「ぎゃぁぁああぁぁ!!!!!」




耳障りな断末魔が闇の中へと呑まれていく…。




依頼を完了した夜依は軽く刃を振り血を落とす。


下に転がる屍を冷たく見下ろす姿は殺し屋の顔。何も目に映さず、ただ相手を殺すだけ。





雲雀、こんな姿の私を見たお前は……どう反応するんだろうな?





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(絡められた鎖から私は抜け出せない…)




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