41.同じ過ち。
『体育祭?』
雲雀と一緒に夕飯を食している夜依は彼の口から出た言葉に首を傾げる。
「そう。今週の日曜は並盛の体育祭だから。」
嬉々そうに私の作ったハンバーグを口に運んでいる雲雀に夜依は口に箸を添えたまま。
『体育祭…とはなんだ?』
「………え、」
まさか夜依……体育祭知らないの?
ハンバーグが食べ終わり、皿を持って食器を洗っている夜依に聞けば小さく頷く。
『し、仕方がないだろ?私はそうゆうものとは無縁だったのだ。』
「そういえば夜依がどんな風に育ったか…僕聞いた事ないんだけど。」
夜依はしまった、とゆう顔をする。
昔に一度、聞いた事があったけど…その時は上手くごまかされて終わった…。
『…それは……』
「もうごまかせるだなんて思わないでね。僕ももうそこまで甘くないよ。」
顎に手を添えくいっ、とこちらに向かせる。
彼女の瞳を捕らえれば一点の闇が揺らいでいた。
―ねぇ夜依。
あの日僕と出会う前に、
君はどんな環境で、どんな世界で生きてきたの?
「戦いの全てを僕に叩き込んでくれた師匠である君の事を、僕は何も知らない。」
違う。知ろうとしなかったんだ。
知れば、君がまた僕から離れて行ってしまうのではないか…。知らない君を知るのが……少しばかり怖いのではないのか…と僕らしくもない感情。
夜依が何も話さないことを良いことに…聞かなかった自分のせいではなく、話してくれない君のせいにしていた。
流しの水を止めて夜依の肩を掴み身体を反転させ視線が合うようにして、逃がさないように夜依の腰の両側の流し台に手を付き逃げ道を塞ぐ。
『ひば……』
「いい加減、話てくれても良いんじゃないの?僕はもうあの時みたいな子供じゃない…。」
『……そ、うね。雲雀は……もう、子供じゃない。あの時と…違う。そして私も…。』
「夜依?」
雲雀の胸に手を起き、コツンと肩に額を乗せる。拒絶することなく雲雀は夜依を受け入れ背中に手を廻す。
『昔は私の方がデカかったのに……いつの間にかお前に追い抜かされていた。』
「当たり前でしょ。僕は男だからね。」
『……力でさえもうお前には勝てないな。』
お前には…昔のままでいてほしかった…。
そうしたらリボーンも雲雀には目を付けなかったのに…。
私のせいであんな事になるのはもう、ゴメンだ。二度と、あんな事になってはならない。二度と……同じ過ちを犯してはいけないんだ…。
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(そう…あんな悲劇を繰り返すのは…もう、嫌だ……)
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