40.5 ―オマケ―
夜依が応接室を出て行ってから僕は拳を強く握り締めた。
あの爆発音と同時に夜依に引っ張られて助かった。
守りたいはずの人に、守られた――
「僕は……貴女に追いつきたいのに…」
貴女はいつも、僕の上にいる。
そしてその下に…僕がいる。
そんな事を考えていると先程言いかけた言葉を思い出し口ぐさむ。
「……夜依、好きだ…。」
彼女が出て行く前に言おうとして止めた言葉。
今の僕では、彼女に好きと言えない。
君は近くて遠い…。
遠いのに、君は僕の近くにいる。
窓際に近寄り寄り掛かって外を眺めて彼女を待つ。
そう、まだ僕は貴女に追い付けていないから言えないけど。
―ガラッ
『!雲雀……』
「おかえり、夜依。」
『ただいま。』
貴女を想う気持ちは止められない。
その笑顔も僕だけに向けていればいい。その唇も、身体も、髪も、全て僕だけに触れさせていればいいなんてそんな独占欲…。
今は貴女より弱いし、貴女の全てを僕のモノには出来ないけれど、
いつか……
「君より強くなって、君の全てを…僕が貰うから…覚悟しててよね。」
END
(なにか言ったか?)
(何も。それより膝枕。)(ハイハイ…)
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