34.風紀委員長の雲雀恭弥
―バキッドカッ
「うっ……」
ドサッと校舎裏に倒れた三人の男子。
その三人を見下すようにして立っている学ランを着て風紀と刺繍で彫られた腕章を腕に付けたリーゼント集団こと風紀委員がいた。
「ヒバリに立てついたのが悪いんじゃない…」
「ヒバリの前で群れたから…………姐さんの事、闇市さんの事を言ったから、こうなったんだ…」
ほとんど意識のない彼等にそう言う。
その場面を上から見ている風紀委員長…。
「ふぁ〜…弱いばかりに群れたがる…」
『雲雀、どうした?』
応接室でコーヒーを飲んでいた夜依は窓から何かを見ている雲雀に近付く。
横目で夜依を見て窓の下を見る。
それに続き夜依も下を覗く。
「仲良し委員会さんだよ」
『…あぁ、群れていたからか』
「…うん。」
本当は違うけどね。と心の内で言う。
「それより眠い。夜依、膝枕して。」
了承を得る前に夜依の腕を引いてソファーに座らせ、そこに頭を倒す。
(あんな細い腕なのに、よく僕の攻撃を受けとめられるよね…)
「ハァ……」
『オイ、私が溜め息つきたいわ…』
上を見上げれば優雅にコーヒーを啜っている夜依の姿。
僕はこの二人だけの時間がとても愛おしく感じる。誰にも邪魔されない、二人だけの時間が…。
そう愛おしんでいると不意に誰かの気配を感じとり膝から頭を起こし、応接室の扉の方を向く。
夜依も気付いていたのか視線を扉の方に流している。
―ガチャ
「へ〜、こんないい部屋があるとはねー」
扉が開き、気配の主が現れる。
…!!あいつらは山本武と獄寺隼人?なんで奴らが…。
向こうは私に気が付いていないのか目の前にいる雲雀を見ている。
「君、誰?」
「!(こいつは…)」
山本は応接室に誰かいることに気が付きそちらに目線を流すと目を見開く。
―風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨するヒバリこと雲雀恭弥…!
「なんだあいつ?」
「獄寺、待て…」
ヒバリを見たまま中々中に入ろうとしない山本に、獄寺は痺れを切らし中に入る。
転入してきた獄寺は彼を知らないのでヒバリがどんな人間かも知らない。山本は獄寺を止めようとするが…
「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?ま、どちらにせよただでは帰さないけど。」
せっかくの夜依との二人だけの時間を邪魔されたことに腹を立てているヒバリは目を鋭くさせる。
「んだとてめ―!!!」
ヒバリの言葉に完全に喧嘩腰になってしまった獄寺は掴み掛かろうと一歩足を踏み出す…。
「消せ」
ビュッと強い風が顔を横切ると自分の吸っていた煙草の火が消え獄寺は目を見開き後ろに大きく下がった。
「!なんだこいつ!!」
「(聞いた事がある…ヒバリは気に入らねー奴がいると相手が誰だろうと仕込みトンファーでめった打ちにするって…)」「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。見てると咬み殺したくなる。」
そう、弱い奴らが群れていると咬み殺したくなる。草食動物は嫌いだ。
自分が弱いとすぐ誰かに頼り自分のプライドさえ持たない弱い動物だから…。
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