27.計画的な犯行。
―雲雀Said―
夜依が家を出て数分後に僕も家を出た。
鍵を掛けて。
バイクに跨がりそのまま学校へ向かう。
その表情は何処か楽しげだったとゆうのはまた別の事…。
―ヴォォオオン……キキッ
「おはようございます委員長!!!」
校門前に着くと風紀副委員長の草壁哲也がいた。
「遅刻者は?」
「今の所0です!」
「そぅ…」
咬み殺そうかと思ったのに違反者はいないんだ…。つまらない、と言いたげな雲雀。
バイクを置きに行こうと歩き始めるが後ろから委員長!と呼ばれた言葉に耳を貸す。
「そういえば先程、他の風紀員から連絡があったんですが…」
「……なに?くだらない事なら咬み殺すよ」
なんなの。僕はこれから夜依に会う為に校長に交渉しに行かなくちゃいけないんだ。
早くしてくれる。と少量の殺気を込めて言う。
それに気付き背筋を伸ばす草壁。
「ッ……実は、見かけた事のない女子生徒が指定の制服を着ていないとの事で…」
「!……それって、黒いスカートに黒い靴下を履いた女子の事?」
「!?委員長、何故それを…!」
まだ告げてもいないその制服の特徴を言い当てたヒバリに目を見開き驚く。
その反対にヒバリは今朝の事を思い出していた。
(今朝夜依が着ていた制服が違うから並盛じゃないのかと焦ったけど、やっぱり並盛に通うんだ…。)
「…その女子は僕が見るからいい。君等は手出しをするな。他の奴らにも言い聞かせといて。」
「?委員長自らでですか?」
「なに?文句ある」
「いえ!では、自分はこれから他の委員に伝えに行ってきます!」
「うん。」
簡単に返事を返して校門を後にする。
バイクを置いた後、職員室へと向かう中。
廊下で五月蝿く話ていた多数の生徒がヒバリの姿を見た途端に一斉に口を閉ざして静まり返る。
…賢明な判断だね。
職員室の扉を無言で開けると中にいた教員達が顔を青ざめてこちらを見る。雲雀はそれらの視線を無視して目的の人物を見つけ、足を向かわせる。怯えた目で見る教員達。その視線は良いものでは無く、雲雀は不愉快に感じ。
「なに見てるの。咬み殺すよ」
「「「!!!」」」
鋭い眼光に身を震わせ各自の仕事に戻った教員を見た後に目の前にいる老翁に目を向けて話始める。
「これから転入生が此処に来るよね。その子、此処へ来たらすぐに応接室に来るようにしといて」
「わ、分かったよヒバリ君!」
「じゃ、よろしく」
学ランを靡かせて職員室を後にするヒバリの後ろ姿を見ていた校長は深い息を吐く。
それは緊張感と身の安全から来るもの。
周りにいた教員達も同じ気持ちでいたのか息を零していた。
彼に逆らえばトンファーの餌食になり、病院送りにされる。
校長は彼に呼び出され、また、彼の強さと怖さを身の内に知ることにこの転入生もなるだろう。可哀相に…と心の内で思っていた。
そんな彼等の気持ちなど知りもしないヒバリは機嫌良さ気に、真っすぐ夜依が来るであろう応接室へと向かうのであった。
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