24.10代目と登校。



私は朝食べる時間は無かったから雲雀の分だけ簡単にご飯と味噌汁だけを作り置いてきた。




先に家を出て並中へと足を運ばせる夜依。




ふぅ、取り合えず学校に間に合いそうだな…。





そう思って道を歩いていると……




「ちゃおっス」



『やはり気配の主はお前か…リボーン……』




聞き慣れた独特の挨拶に溜息を吐きながら後ろへと身体を向ける。
するとやはりそこにいたのはカメレオンを連れ、黄色いおしゃぶりをぶら下げたスーツを着た赤ん坊、リボーンだった。





『何かあったのか?』


「何もねぇぞ。」




ピョンっと持ち前の軽々しさで肩に乗ってきたリボーン。



てっきり何かあって私に会いに来たのかと思ったが……





「リボーンッ!おまっ、急に走っていってどうしたんだよ……って、えぇえ!?!」




リボーンが着た道からススキ色の髪を持った少年が現れる。
ボンゴレの次期十代目らしい…確か名前は…


『沢田…綱吉…』



そう、沢田綱吉。
彼は沢田家光の息子らしい。苗字が同じだったからまさかとは思ったがな…。




沢田はリボーンを追い掛けてきたようで私を見て驚いた顔をする。




「闇市さん!?闇市さんがど、どうしてうちの学校の鞄を持ってっ!?」


『…?リボーンに聞いてはいないのか?』


「聞いてって…何をですか?」





何か嫌な予感がする、と言いたげな顔をしている沢田。




『今日から私は並盛中学に通うんだ…』


「あぁだからうちの学校の鞄を………って、はぃいいぃぃいいいッ!!??」


『沢田五月蝿い黙れ』


「す、すみません!!」



夜依の鋭い睨みに顔を青ざめて謝罪しているツナ。
………本当にこいつがボンゴレのボスになれるのか?
などと疑問に思いながらも無視して先を歩きはじめた夜依にツナは慌ててその後ろを歩く。



『………何故私の後ろを歩く?』



「え!あ……なんと、なく?」


闇市さんって、なんか刺々しいオーラーがあるからあんまり近くで歩くと怒られそうで怖かった、からだなんてい、言えないッ!!!



冷や汗が頬を伝っているとぐいっと腕が引っ張られる感覚に自然と身体は前へと傾く。





「わっ!!?」



『別に後ろを歩く必要などないだろ。』




俺の腕を引いたのは闇市さんで、隣にいるのも闇市さんで………






「闇市さん…大丈夫なんですか?だって群れるのが……」




そう、初めて会ったあの日確かに彼女は群れるのが嫌いと言っていた。
だから俺とこうして群れているのが嫌だと思い、後ろを歩いていたのに…




闇市さんは無表情でこちらを見ていた。
だけど、何となく、驚いた顔がほんの一瞬…見えた気がしたのに、






『……ふん、ガキがッ………!』





ギッ、と睨まれたと思いきや闇市さんは先にスタスタと歩いて行ってしまった…。
リボーンは闇市さんの肩から下りていたみたいで俺の足元にいる。





「ぇ、えッ!?俺、なんか機嫌を損ねるようなこと言った!?!」




パニくっていると足元にいたリボーンがそれは違うぞ、と口開く。





「?けど明らかに俺睨まれたし…それに、置いて行かれたんだぞ…?」



あれが怒ってる以外になにがあるってんだよ!!





「あれは夜依の照れ隠しだ。」



「は?て、照れ隠しぃい!?」



「あいつは今まで誰かに気遣られたりしたことが無かったからな。お前の夜依に対する気遣いにあいつはどう返せばいいか分からなかったんだろう…」






あいつは嬉しい事があっても素直に喜べない質なんだぞ。と言うリボーン。





そういえば……夜依さんって…殺し屋なんだよな…。
そんな世界で気遣いなんて感情は無かったんだ。だから彼女………あんなに表情が少ないのかな…。生きるか死ぬかの瀬戸際に、彼女はいつも両立していたんだ。
ずっと、一人で…。




人の優しさを知らない、誰かに頼る強さを知らない、涙を流す事を知らない、感情をどう表せばいいのかを…知らない……。
殺し屋に、それは不必要だから…。






夜依さんはきっと、そんな事どうでもいい、って言うかもしれないけどッ…





































だけど……









「だけどそれは……悲しいよ…」





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