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65.二人の兄妹


並盛中の保健室にて、
黒幕の仲間であろう人物と戦い負傷を負った獄寺は治療を受けて今は静かにベッドの上で眠っている。


病院は危険だというリボーンの判断で信頼出来るシャマルのいるここへ運ばれていた。


傍らには心配げに弟を見遣るビアンキは自分が付きっきりで看病すると言うが…。



「(いや、逆効果じゃないかな;)」


とツナは密かに内心でそう感じていた。

ちらりと安定剤で眠っている獄寺君を見る。
俺を庇ったばかりに、あんな傷だらけになってしまった……。一人こっそりと保健室から抜け出し廊下に出た所で頭を抱える。



「あ〜〜〜、俺バカだ〜〜!!何で行ったかな〜〜!!?行かなきゃ良かった〜〜!!」


「ちゃおっス。」



リボーンの声に今までどこに…って言うため声のした方向に視線を流すと。



「な、何だこりゃーーー!!?」


「レオンがやっと静まって繭になったぞ。」


廊下の天井にはレオンがスライム状になってひっついていた。はっきり言って不気味だ。



「お前何してたんだよー!!」

「イタリアで起きた集団脱獄について調べてたんだ。」



脱獄?その言葉に首を傾げながらもツナはリボーンがディーノから聞いた情報を聞いた。


イタリアの監獄で脱獄事件が起きた事、
その事件の主犯である六道骸という名の少年が日本に渡った事。
また、10日前に黒曜中に3人の帰国子女が転入し、不良をあっという間に倒して黒曜中を牛耳ぎっている事。
その転入生の一人が六道骸だったとゆう事を聞かされた。



先程から胸に突っ掛かる感覚…。なんだ、リボーンの情報を聞いてからずっと胸に何か突っ掛かっている感覚が続いていた。何かに、気付かなきゃいけないような………なんだろう。



「てかそれって、何気に相手がマフィアだって言ってんのか!?」


「逆だぞ。奴らは、マフィアを追放されたんだ。」



追放された経由を聞きながら、そういえば今朝、ヒバリさんが葵ちゃんを探していたけれど……この事件に巻き込まれてないといいな…。


不意に脳内を横切った人間不信な彼女の姿。
顔の半分を包帯に包まれていつも何かに怯えている……



………え、……あ、れ…?




「な…なぁリボーン…」


「なんだ。」


「……確かさ…主犯の名前って、"六道"骸…なんだよな?」
「…お前も気付いたかツナ。」


まるでお前の考えていることは当たり、と言うかのようなリボーンの言葉。主犯の苗字にツナはそんな、と冷汗をかく。
だってそうしたら彼女は………






「まさか…彼女って……」


「そう……六道葵はこの主犯の六道骸の……双子の妹であり、二人は兄妹だ。」



それは、信じたくない、事実だった。







―――――――――

――――



獄寺との戦いで酷い怪我を負った千種がどさっと入口付近で全身火傷と血で汚れたまま倒れる。それを見た骸はすぐにボンゴレと接触したと気付く。




「おや、当たりが出ましたね。」



膝には葵が頭を預けて眠っており優しく撫でていた。



「千種きましたー?」



千種が帰ってきたのを彼の匂いと鉄の匂いで感じたのか犬が現れた。
目の前で倒れる千種に犬は珍しいものを見るかのように側に屈んでそれを見る。



「っひゃ――だっせー!血まみれ黒コゲじゃん。」



「気を失ってるだけです。ボンゴレについて何もつかまず千種が手ぶらで帰ってくるはずがない。目を覚ますまで待ちましょう。」



そう話していると僕の膝の上で寝ていた葵が目を覚ます。ゆっくりと瞼を上げ、数回小さく瞬きをした。



「葵、起きたのですか?」


下にしている頬から顎に沿って愛おしむように撫で下ろす。
目を覚まして一度こちらを見た後に葵は小さく頷く。
すると千種が倒れている方向に目線を流した途端にガバッと骸の膝から飛び起きて立ち上がった。



「葵?」


「葵、さん?」



血まみれの千種を見た途端に側に駆け寄り心配げに彼の身体に触れている彼女の姿に犬と骸は感情を出した葵に吃驚し目を見開くが。



『………。』


ポケットから出したハンカチを使い丁寧に千種の血を拭っていく。
昔の優しい彼女の面影を見た二人は自然と表情を緩ませていた。




あぁ、お前は本当に、昔と変わらないんですね。





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(僕の愛しい葵のまま…)




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