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62.血に染まる貴方。





頭が真っ白になる。

なぜ、なぜ彼は私の目の前で倒れているの?
何故彼は血まみれなの?何故私は……




血で染まった武器を、



構えているのですか?





『ぁ……』



震える手から力が抜け、カランッと音を立て槍が床に落ちる。呼吸が荒くなり冷汗が彼女の頬を滑った。



まさか、まさか私が……



私が、恭弥君、を…?





『ぁ…あぁ……』



両手に付着した血。
私は、彼を……







『ねぇ恭弥君…』





ふと、頭の隅で昔恭弥くんと会話した時のことを思い出す。








『ねぇ恭弥君…。もし、私が間違った道を進み、間違った行動をしたら、恭弥君は止めてくれますか?』


「葵が?……そうだね。」


悩むように目線を下にやり顎に指を添える。




『で、でも痛いのは…嫌…』


「くすくす……僕が君にトンファーを振るう訳無いだろ?………でもちゃんと僕が君を止めてあげるよ…」





「――――馬鹿だねって言って。」




そう言い雲雀はふわりと軽く笑い、葵の頬に優しく触れた。








優しく言ってくれた貴方は……今は口を閉ざして何も言ってくれない。



でもそうさせたのは、他でもない……



私だッ……








『あッ、あぁ……ゔあぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!』




頭が、真っ白に染まってゆく。
もう、何も……考えたくない。




そして葵は、また。深い闇の底に心を沈ませた。










誰か………







助け……て………








恭弥くん……




ごめん、





ごめんね、










ごめんね、恭弥君…



ごめんなさい……






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(思考が……停止していく…まるで、これ以上時間を進めたくないかのように……)


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