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56.大きな存在。





全く母さんってば。


手にある数枚のチラシに溜め息を零す。
最近物騒だからってこんな格闘ばっかの習い事をやらせるなよなー。
第一、運動音痴な自分が出来ないことぐらい分かってるだろ…。




「それにしても…」



ツナは周りに張り巡らかされている学ラン集団を見てヒヤリと冷や汗を流す。



「なんでこんなに風紀委員が…」


「そりゃああんな事件が多発してるんだ。ピリピリもするぞ。」



家の塀を歩いているリボーンは風紀委員を見ながらそう言う。
うー…最近妙に風紀委員を街中で見掛けるのはそれが原因かな。



「やっぱその事件とかって不良同士の喧嘩なのかな…」


「ちがうよ。」


「!!」



校門の前で立ち尽くしているツナの背後からテノールの声が掛けられた。その声の持ち主を知っているツナは慌てて振り返る。





「ヒバリさん!!」


「ちゃおっス」



いや!お前何呑気にヒバリさんに挨拶してんだよ〜!泣
変にヒバリさんを刺激しないように静かに話す。



「いや…ボクは通学をしているだけでして…」



当たり前な事なのに恐怖に頭が混乱する。
けどヒバリさんはそんなのどうでも良いかのように話を続けた。




「身に覚えのないイタズラだよ…」



ふぅと息を着き眉間に皺を寄せ…




「もちろんふりかかる火の粉は…元から絶つけどね。」



「(やっぱヒバリさんこえ―――っ!!)」



元凶である犯人を見つけたら殺す気だヒバリさん!!
ぞわわ〜っと鳥肌が立つ。
そんな中で、変に聞き慣れたメロディーが耳に聞こえてきた。




―緑〜たなびく〜並盛の〜

大なく小なく〜


並〜がいい〜〜



「(あれ、うちの校歌だ…)」



急に鳴り出した発信源の音を探るようキョロキョロと頭を動かしているとある所でそれは流れていた。





!?

ひ、ヒバリさんの着うた――――!!!?




なんと流れていた校歌は着うたとしてヒバリさんの携帯から流れていたものだった。



ある意味ショックを覚えた俺はこれ以上ヒバリさんといると何が起こるか分からないと踏み、ヒバリさんが電話をしている間に立ち去ろうとした瞬間。




「――君の知り合いじゃなかったっけ?」


「?」



携帯を耳から離したヒバリさんの口から出た名前に俺は凍りついた。






「笹川了平……やられたよ。」


「……!」



そんな、お兄さんがッ!?
その言葉で頭の中が真っ白になった俺は校門に入らずそのまま並盛中央病院に向かって走った。

















「…………。」



背を向けて笹川了平が運ばれたであろう並盛中央病院に向かって走ってゆく草食動物。
その後ろ姿を見ながら視線を横にある塀にやる。




「君は行かないのかい?




………赤ん坊。」




そこにはリボーンがいた。ツナの後を追わず、じっと雲雀を見つめたまま。




「……ヒバリ、葵はどうしたんだ?」


「…!」



リボーンの口から出た名前に雲雀の肩が小さく動揺を見せた。
いつも彼の後ろで控えめにいるはずの少女の姿が見当たらない。





「いつもお前の隣にいるはずのあいつがいねぇ………葵に何かあったのか?」



ハットの下から覗く彼の目は真っ直ぐだった。




「……彼女が並盛騒動を起こしている主犯に拉致られた。」


「!!」



雲雀から出た言葉にリボーンは目を見開く。



「主犯はもう調べが着いた。今から彼女を迎えに行く。」




そう言って、校門とは逆方向に歩き出した雲雀。
すれ違い際にリボーンが見た雲雀の顔は、今まで以上に見せたことのない殺気と怒気に満ちた顔をしていた。




「(ありゃ目だけで人を殺せる勢いだな…)」



大切な彼女を自分から引き離した奴を成敗しに向かうヒバリにとって葵とゆう少女の存在は大きい…。






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(それにしても何故葵が……犯人と葵には何か関係があるのか?)





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