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50.再会した二人。





『……ッ!!』



背中から聞こえた声に葵は勢いよく振り返った。
昔とは違った、少し低くなった声だが私はこの声を…知っている。
忘れもしない、この声は………





『…おにいちゃ………骸…。』




つい昔の呼び方で呼んでしまってから気付き慌てて言い直す。


昔は同じ背丈だったのに、今は10cm以上も違うその高さに私は顔を上げるしかない。
そんな骸は私の顔を見ながら昔と違った笑みを浮かべて私に近付く。




「クフフ…お久しぶりですね、葵。」


『ッ……。』




ビクッと身体が鳴る。
怖い、身体が、震える……。
なんで…骸が……日本にっ…!


久しぶりも何も、貴方に会わないために私は逃げて、逃げて…ジャポッーネに来た。
それなのに、なんで貴方はジャポッーネにいるの?なんで貴方は今…




私の前に立っているの?






昔の記憶ばかりが頭を巡る。



骸達との楽しかった思い出



実験台にされて辛かった日々


でも四人で切り抜けたと思ったあの日




そして、私が置いていかれた日




唯一家族だと思っていた者達からへの裏切り……。







思いもしなかった骸との急な再会に葵は頭の中が混乱していた。



「大きく、なりましたね……。」



懐かしそうな顔をして私を見る骸、
でも、その裏では悲しんでいるように見えたのは……どうして?




それに骸が日本にいるなんて、何をする気なのだろうか。


とめどない恐怖心から一歩、後ろに下がろうとした瞬間。
骸の紅い右目がヴヴッと数字を変えて私を見る。



『…!!ッあ……くっ…!』



っ!!身体が、動かない!?




骸の力により身体が動かなくなってしまった葵に骸がゆっくりと近付く。





いや、いや……こないっ……で…




「やっと、見つけました。」




―トンッ、と後ろ首に痛みが走り目の前が霞み意識がだんだんと沈み込んでいき自分の意志と関係無く倒れた。
骸は意識を飛ばし倒れ込んできた葵の細い身体を胸で受け止める。



葵が意識を失う前にかすかに聞いたのは、





「この日をずっと、待っていた―――僕のかわいい葵…」



骸の笑みを含んだ声だった。
意識が朦朧とする中で瞼の裏に愛しい人の姿が過ぎる。
いつも真っ直ぐな瞳で私を貫いてくれた人……









きょう、や…くん……


そして今度こそ葵は暗闇の世界に落ちていった。




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(?……きょうや?)



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