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41.お礼をさせて。





「こっちだよ。」


恭弥君に手を引かれて林の奥に進む。
花火を見るのに、何故こんな奥に行くのだろう?と疑問を抱きながらも彼を信じて奥にへと進んで行く…。




暫く歩いているうちに高い丘に出た。



『…。』


「着いた。」




見てごらん?と背中を軽く押され前に出る。




『!』



目の前でバァァン、と
大きな音を弾かせながら空で咲かせる大きな花。

葵の目に映った大きな花とは、花火の事だった。




『……綺麗…。』



頬をほんのり赤くさせ、手を胸の前で組んで瞳を輝かせて花火を見る葵。




「以前、並盛の見回りをしていた時に見つけてね。ここは誰にも邪魔されず、特等席で花火が見られる…。だからこの日に葵を連れてこようと思ってたんだ。」


『ありがとう!恭弥君!!』




花火を背景に嬉しそうに笑う葵の顔が、何時もよりも輝いて見えた。



「…別に。」



横に顔を背けた途端に身体に衝撃が来て驚く。
首に廻された細い腕。
耳には彼女の吐息が届く距離。




『嬉しい……こんな素敵な、思い出…本当に嬉しい!』



首に抱き着き嬉しそうに話す葵が可愛くて、彼女の細い腰に自分の腕を絡ませる。
折れないように優しくも強く、葵を抱きしめた。




「気に入った?」


『うん!…なんだか私、今日恭弥君に沢山貰ってる……ううん、何時だって、私は何かを貰ってばかり………何か、お礼がしたい…。』



明るかった顔は一瞬にして暗い顔になってしまった。眉を垂らして。



僕は君に何かをあげたいと思っているからあげているだけだ。
別に葵からの見返りが欲しくてやってるんじゃない…。



「(そう言ってもこの娘は聴かないからな…………!)」




どうしたものかと考えていたが葵の浴衣姿を見てある提案が浮かぶ。




そういえば…





「そうだな……じゃあ貰おうか。」


『?なにを……』




あげたらいい?と口から出るはずだった言葉は唇を塞がれて口の中で消える。
葵はただ驚きに目を見開かせていた。



そっと唇が離れるとすぐ鼻の先では目を細め口角を吊り上げているヒバリの姿。




「朝の続きと君、を貰うよ。」







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※次は裏です!
裏がお嫌い方、または裏についての知識が無い方はお戻り下さい。
次は別に読まなくとも話は進めるので読みたくない人はそのまま読まなくても大丈夫です!


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