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TITLE 40.夜空に咲く花。 「………葵?」 追跡中のひったくり犯を捕まえ、そいつらが集めたお金を風紀委員の活動費に使うため草食動物から力ずくでそれを貰おうとした所、腕に重みを感じる。 それが何かを確かめように視線を下に流すとそこには見慣れた藍色の髪。 葵が僕の腕にしがみつき、小さな声で 『ダメッ…』と言っていた。 雲雀は何故葵がこいつらを庇う?と首を傾げさせていると会いたかった人物が顔を出す。 「ちゃおッスヒバリ。」 葵を見ていると今度は赤ん坊が現れた。赤ん坊にまた会えたのは嬉しいが…今はまだ戦う時じゃない。 葵もいるしね。 「やぁ赤ん坊…。」 「今回は引いてくんねぇか?その金は、並盛町の公民館の修理費に使うんだ。」 公民館の、修理代? くるっと腕にしがみつき上目使いで僕を見る葵を見遣る。 「……あぁ。そうゆうこと。」 彼女は僕が並盛を愛し、大事にしている事を知っている。だからその大事にしているモノの為に使うお金を、彼等から奪うとゆう行為を僕にして欲しく無かったんだ。 『………。』 不安げな瞳で見る葵の頭を優しく撫で、握っていたトンファーを仕舞う。 「今回は貸しにしといてあげるよ。」 「え…」 「行くよ葵。」 階段を降りていくヒバリさん…。 ハッとして葵ちゃんを見ると彼女は一瞬だけ止まり、俺達を見てからすぐにヒバリさんの後を追うように階段を降りて行った。 『恭弥、君!』 階段を降りて下で待っていると葵に名前を呼ばれて振り返る。 「なに?」 『…怒ってる?』 階段から降りてきて僕の腕の裾を掴み眉を垂らして上目使いで見上げてくる葵にふっと笑みを浮かべた。 「クスッ…怒ってほしいの?」 頬に手を滑らせ葵の柔らかな唇に吸い付く。 『……っ』 「怒ってないよ。」 『………。』 「…本当だよ。それに花火を見るんだろう?」 『…!うん。』 暗い顔から明るい笑顔に…。 君には暗い顔は似合わない。だから僕の隣にいる間は笑っていなよ。 君が僕を必要とするならずっと、君の側にいるから…。 強いようで弱く儚い君。そんな君を見て、僕が守るとそっと誓ったあの日忘れないよ…。 空に大きく咲く花に僕と葵は寄り添いながら見た。 強く手を握り合って…。 その手を引き離す事に追いやる存在が、現に近付いていることも知らずに……。 次→ (それにしても君、あれってワザと?) ↑ 上目使いの事 (???)←何の事か分からない ((あんな顔で見上げられたら抑えが効かなくなるんだけど……)) . |