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34.君(私)の居場所。





後ろを向いて縮こまっている葵の首に腕を廻し抱き寄せるとそのまま頭にキスをする。



「…今すぐ食べたいぐらいに、ね。」


『Σ!』


「その格好だと脱がすのが楽で良い。」




目を細め、耳裏のすぐ下に口付けしながらススッと首に廻していた腕を下に降ろして浴衣が合わさっている胸元に手を入れ素肌に触れるとビクッと肩を跳ねさせる。



『っ…!』


「クスッ…今すぐ襲うってのも良いけど……それじゃあ折角着付けしたのが勿体ない。」



首筋から上に伝い耳元でそう呟きながら下着を付けてない葵の胸の突起周りをツゥーと人差し指でなぞる。
敏感な葵の肌はそれだけで感じているのか、辛そうに瞳と唇を閉じていた。


いい感じに部屋の雰囲気が成り立ってきたところで、




―緑〜たな〜びく〜並盛の〜



「……。」


『ぁ………、』



タイミング悪く室内に鳴り響くのは聞き慣れた曲。雲雀の方から聞こえてくる並盛中の校歌…。
それを聞いた途端に後ろから深い溜め息が耳をくすぐり、温もりが離れる。
そのまま私も乱れた胸元を直しながら後ろを振り返ると恭弥君が調度電話に出
ている所だった。




「――――そぅ、君達はそのまま並盛神社に向かって。」


『…もう行く?』



電話が終わった彼にそう聞けば小さく頷く。



「行こうか。」


『うん!』



家を出て、先を歩く恭弥君の後に続いて歩いていると不意にこちらを向き。



「…なんで後ろ歩くの?」


『?わっ…』



こちらに振り向いた雲雀は口をへの字に曲げていた。
首を傾げていると手首を捕まれてくんっと引かれ横に来させられた葵は目を見開いて彼を見た。



「君の場所はココでしょ。」


『……!』



手首を捕まれていた手はするりと手にきて手の平と手の平を合わせ指の間に指を入れて手を握る恋人繋ぎに変わった…。
私の場所…。恭弥君が許してくれた場所。




それが嬉しくて、幸せで、顔が赤くなるのが分かり。それを隠す為に手を握られている側の恭弥君の腕にピタリとくっつき、赤い顔を押し付けて。

歩き辛いかもしれないのに恭弥君は何も言わず、ただ私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
繋がれた手に少し力を入れれば握り返してくれる。




幸せで、彼の隣にいることが幸せで…。
幸せなのに、それが何故か時々怖くなることがある。



この幸せを、もし失ったら私は……耐えられるのだろうか…。


腕に押し付けていた顔は悲しげに目を伏せていた事を、彼は知らない。




次→

(あ、あの…恭弥君…。)

(なに?)

(手…ぎゅって、して?)↑
上目遣い

(!!///)←口元に手をやる



((ふ、不意打ちだッ…))

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