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31.勘違い×勘違い。





『……。』


「それにしても随分やられたね。」




身体中にある擦り傷に火傷、打撲の痣。
白い肌には良く映って見える…。





『…っ!』



左頬に負った火傷に水を浸したタオルを優しく宛がうと傷に滲みたのか顔を歪ませる。





「全く…。顔に傷を残すような事、許さないから。」


『うん…。ごめん、なさい……。』




普段下がっている眉が更に下がるのを見て葵の頭に手をやりくしゃくしゃと撫でる。




「葵、一つ聞いても良いかい?」


『うん。』


「なんで彼等と戦ったの?」



頭を撫でていた手が頬に滑り冷えピタが貼ってある頬に触れる。



『……最初ね、あの人達が付けていただなんて知らなかった…。でも気配でマフィアだって事は分かったから…それで、槍を振っちゃったんだけど彼等だと分かった瞬間戦う気は無かった。だけどあの銀髪の男の子が爆弾を構えてきたから…。』


「戦う気は無かった?」


『うん。だって、恭弥君、あの人達の事気に入っていたでしょ?だから……』




と、しゅんとうなだれてしまう。

僕が彼等を咬み殺す対象であるから彼女は自分が手を出して、僕の楽しみを奪いたくなかったのだろう。




「馬鹿だね、本当。」


『……。』



更にへこむ葵に小さく笑いその唇に自分のを重ね小さなリップ音がして離れる。



「僕の事を考えてくれるのは嬉しいよ。けど、今回の様な事は二度としないで。約束できる?」



君が血だらけで倒れているのを見て、僕がどれだけ心を乱したか、分かる?




そう瞳に籠めて葵を見詰めていると眉を下げ、小さく彼女は謝った。



『もう、しない…。』


「うん。絶対ね。」



それを聞いてから立ち上がると葵は首を傾げこちらを見る。




『何処か、行くの?』


「少しね、用事が出来たんだ。すぐ戻ってくるから帰る準備をして待ってて。迎えにくるから。」


額にチュッとキスをしてから応接室を出た。








恭弥君が出て行って私はあんなに震えていた身体がいつの間にか止まっていた事に気付く。



『震えが、止まってる…。』



あんなに怯えていたはずの心も、今はふんわりとした軽い気持ちになってる…。



やっぱり、私には恭弥君が必要だ。
あの人の言葉一つで…私は心が救われている。




大好き、大好きだよ、


恭弥君。



本当に、大好きなんです。




胸が切なくなるほど、貴方が大好きです。





―END―



オマケ



「リボーンの奴、まだかな〜」


―ガチャ
(屋上の扉が開く音)


「やぁ。」


「「「ひ、ヒバリ(さん)!?」」」


「あ、あのヒバリさん……どうして?」


「そんなの君達を咬み殺す為に決まってるだろう?」


「んなっ!?」


「現に赤ん坊から許可を貰っているからね。」


「(何て事言ってんだよリボーンの奴!…はっ!もしかしてここで待つように言っていたのって、こうゆう事かよ――!!)」


「覚悟はいいかい?君達。」


「ひ、ぎゃぁぁぁぁああ!!!!!!!」







―――――――

30分後



「ただいま。」

『!?きょ、恭弥君血だらけ!!(焦)』

「ん?…あぁ、大丈夫。全部返り血だし。」

『?』

「帰る支度はした?」

『うん。』

「じゃあ帰ろう。」

『はい!』





―沢田家―


「イテテテ…」

「随分こてんぱにやられたな。」

「リボーン!なんであんな事したんだよ〜!」

「葵の事を考えてみろ。あれが償いになるなら軽いもんじゃねぇか。」

「……あ、だからか…」

「?」

「(だからヒバリさん、獄寺君だけあんなに攻めてたんだ…。)」



山本とツナだけは軽傷で、何故か獄寺だけは重傷だったとか…。


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