TITLE


28.あの子は僕のだからね。





「それって……」


「君が思った通りだと思うよ。……………あの子は、人間不信なんだ。」



ヒバリさんの言葉にやはり、とゆう言葉が俺の中で横切った。だって彼女が俺達を見る目は怯えていたし…。
彼女が倒れた時だって駆け寄ろうとしたけどそれは睨まれて拒絶された。あの時の目は警戒だけじゃなかったんだね。
不安と恐怖で歪んでいたんだ。


先程の事を思い返していると山本の肩にいるリボーンが口を開く。




「……それだけには、見えねぇがな。」



帽子を目深く下げながら言うリボーンにヒバリさんは眉間に皺を寄せた。



「人間不信だけか?あれは別の何かにも怯えているように、俺には見えたぞ。」


「……………。」


「ひ、ヒバリさん…?」



何も言わず俺達に背を向けたヒバリさん。
不思議に思っていると肩越しからヒバリさんが口を開かせた。




「……確かに…赤ん坊の言う通だよ。あの子初めて会った時、今の君達がしたみたいに変な奴らに追われていたんだ。」


「!」


「変な奴ら?」


「まさに今の君達と似たような、ね。」




肩越しから言う雲雀の瞳は何かを訴えるかのように潜める。
その何か、に感づいたのかリボーンはハッと顔を上げた。
雲雀の言葉の中に含まれた意味……それは、


















「………マフィア、か。」


「えっ!?」








―マフィア―



確かにリボーンはそう言った。




「な、何言ってんだよリボーン!!追われてたって……葵ちゃんがマフィアに!!?」


「良く考えてみろ馬鹿ツナ。」




頭に蹴りを入れられ尻餅を着く。



「じゅ、10代目!!」


「な、なにすんだよリボーンッ!!!」


「あの葵とかいう女、マフィアの殺気を放っていた。と前に言ったのを覚えてるか?」



「あの葵って女から……ヒットマンの殺気を感じた。」





「あ……」


「そして今日の出来事だ。ヒバリが言った今のお前達と似た奴等が葵を追っていた。今のお前達と似た奴等、つまりマフィアだ。マフィアに追われていたって事は何らかの形でマフィアと関わっていた。それなら葵って女がマフィア並の殺気を放った事にも頷ける。………葵が人間不信になった原因は一般人とマフィアだ。」


「ワォ!流石は赤ん坊だ…。そう、あの子は人間と、マフィアと名乗る群れが嫌いだ。特にマフィアと名乗る奴らはね。」


「何故そこまでマフィアを嫌うんだ?」


「さぁ――。自分を傷付けた相手なら嫌うんじゃない?」




ヒバリさん、今さらりと言ったけどとんでもない事を言ったよね!?



「傷付けた――?」


「僕が初めて会った時………身体中に傷を負っていたから多分奴らに付けられたんでしょ。」




そんな……あの子にそんな事があっただなんて…。
身体中に傷を負わせられるほど、暴力を振るわれていたんだ葵ちゃん……。


そこで彼女の右側の顔を思い出す。




もしかしてあの右目も、マフィアとなにか関係があってのかな?

あの容姿には似合わない、顔に巻かれた包帯。
そんな酷い目にあってマフィアを好きになれって方が可笑しいよ。




獄寺君と山本はヒバリさんの話を聞いて顔をしかめていた。
山本はマフィアとかまだそっち系は今一分かっていないみたいだけど、葵ちゃんが酷い目にあったとゆう事だけは理解しているらしい。




「君達が何を思って葵の後を付けて来たのかは知らないけど、葵は君達がマフィアとかゆう群れにいる事や後を付けていた君達の存在を知っていた。マフィアとかいう群れにいるから葵は君達を怖がり、戦いを選んだ。」




?待てよ……ヒバリさんが言うには葵ちゃんは俺達がマフィア(マフィアだなんて認めてないけど)だとゆう事を知っていた…。
後を付けていた事にも葵ちゃんは気付いていた…………。
もしかして……




今回の一件の答えに辿り着いたツナは顔を青ざめる。
それを見ていた雲雀は…



「……後は、君達で考えるんだね。そうゆう事だからこれ以上あの子に近付かないでよ。」



じゃあね。とヒバリさんは学ランを風に靡かせて屋上を去ろうとした。
その背中に問い掛けるようにリボーンが言葉を掛ける。





「……随分、気に掛けてんだなあの女のこと。」



屋上を出る扉に伸びていたヒバリさんの手がピタリ、とリボーンの言葉により止まる。
そして少し間を置いてから顔だけをこちらにやり、







































「当たり前だよ。あの子は僕のだからね。」




口角を上げながらそう言うとあ、と何かを思い出したかのように声を漏らしフェンスに座っているリボーンの所まで戻る。


…なにやら、二人で話ているようだ。







「――――――」


「―――――――」




ここからじゃ遠すぎて二人の話し声が聞こえない…。何を話ているんだろう?



そんな事を思っている内に話は終わったらしく今度こそヒバリさんは屋上を後にした。






次→

(ツナ、俺は一旦家に帰るがお前達は俺が帰ってくるまで屋上にいろ。)

(え?なんで……)

(もし一歩でも屋上から出たら……分かってんだろうな?)―ガチャ

(ヒィィ―――!!!わわわかったよ!!)



.


prev | next


back main top 


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -