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20.超直感。





勢い任せに家を飛び出してあの子を追い掛けて来てしまった…。




「確かあの方向はうちの学校…だよな。」



ヒバリさんに会いに行くのかな?



「って!ヒバリさんは良いけど他の風紀委員に見付かったらあの子ヤバイんじゃ―――?!」


「あれ?10代目じゃないっすか!」


「っ!?ご、獄寺君に山本?なんで…。」


「よっツナ!実はツナん家に行こうとしたら途中で獄寺に会ってよ!」




偶然なのな。と笑う山本に対し、誰がてめぇとなんか!と叫ぶ獄寺にツナは苦笑い…。



「それより10代目、こんな所でどうしたんすか?」



首を傾げて尋ねてきた獄寺にツナは先程のことを話す。




「あのさ獄寺君、山本。花見で会った女の子の事、覚えてる?」


「それってヒバリといたあの子のことか?」


「うん。その子!」


「その女がどうかしたんで?」


「実はさっき、家の前を通って行ったんだ。」




花見の一件以来一度も見掛けなかった不思議な女の子。
山本も獄寺君もあの子の事を口には出さなかったがきっと気にかけていたと思う。



「それでツナはその子の事を追いかけてたら俺達とばったり会ったって訳か!」


「まぁそんなとこ。とりあえず走りながら話そう!」



そう言って走り出したツナの後を獄寺と山本が追う。




「けどよツナ、その女子を追いかけてどうすんだ?」


「…あの子の走って行った方向が……並盛中の方なんだよ。」


「それってあの女、ヒバリに会いに行ったってことっすかね?」




花見の時にヒバリと一緒にいた女。
妙に変な格好っつうか髪型で木の影から出て来なかったが風紀野郎が倒れた瞬間に出てきた。
リボーンさんが言うにはあの女、ただ者じゃねぇ。あの殺気はマフィアのもんだった。



しかしマフィアだとしたら何処のファミリーのもんだ?





「それがどうかしたのかツナ?」



獄寺が考えながら走っている中で山本がツナに問う。




「確かにヒバリさんとあの子は仲が良いみたいだけど、もし他の風紀委員に見つかったらあの子ただじゃすまされないって!!」



風紀委員に見つからないでヒバリさんと会えるのならいいけど大方ヒバリさんは応接室か屋上にいると言われている。
そこまで行くのに、風紀委員に会わないとは限らないしうちの風紀委員は他校の侵入者を許すほど甘い人達ではない。




そう話したツナの言葉に山本と獄寺ははっとして確かに、と頷いていた。それでも納得いかないのか獄寺は口を挟む。



ツナ達は今まで葵を学校内で見かけなかったことと着ていた制服が並中のものではなかったことから葵が他校の生徒だと勘違いをしていた。





「しかし10代目!何故あの女を……。10代目に刃を向けた女っすよ!?」



何故自分達に刃を向けたあの女を助けようとするのかと獄寺は思っていた。
そんな疑問をぶつけられたツナは一瞬獄寺を見て目をきょとんとするがすぐに目線を前に戻す。




「分からないんだ。」


「ツナ?」


「10代目?」



曖昧な言葉に二人は首を傾げる。
ツナはただ真っすぐ前を見て。




「俺にも分からないんだ。何故こんなにもあの子の事が気になるんだろうって…。」




あの時、槍を構えられて殺気を放たれた時は怖くて足がすくんだ。

怖かったはずなのに…あの子の事が気になる。















「放っておけないんだ。」





あの子を…。



何故かは分からない…だけど…





多分……彼女の瞳を見た時からだ。
槍を構えて俺に立ち向かってきたあの子の瞳。



ヒバリさんを見る時の目と俺達に向ける時の目の色が違った。ヒバリさんを見る目は優しく輝いた目をしているのに、俺達に向けた時の目は恐怖と何かが交じった色をしていた。



あの目を見た時から……何かあの子にはあると思ったんだ。
あんなに寂しい目をした女の子に会ったのは初めてで……なんだか切なく感じた。
だって俺が見てきた女の子達は皆楽しそうで、いつもにこにこ優しく微笑んでいて、友達と一緒に明るく話たりしていた……。だからあの葵って子の目や表情を見て驚いたんだ。




放っておけない。





ツナの真っ直ぐな瞳を隣から見ていた山本と獄寺は黙ってその横顔を見ていた。






向かう先は並盛中へ。






そんな三人の話をまさかリボーンに聞かれていたとはツナ達はつゆ知らずに…。




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(…ボンゴレの超直感か。)


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