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12.笑顔の花。





満開に咲き誇る桜が咲いている桜並木。
私と恭弥君が桜を見るのが一番好きな場所。



周りは誰もいなくてしんとしている。




『?花見日和なのに誰もいないね…』



私には有り難いことだけれどもこんな花見日和に誰一人居ないのに疑問を感じた。




「彼等に追い払って貰っているからね。」



あ、そうゆうことですか。
苦笑いでいると手首を捕まれくん、と引かれる。


「ほら、座って。」


『え、あ、うん…。』




言われた通りに草原に座ると膝の上に恭弥君の頭が落ちてきた。



『?膝枕?』


「うん。葵の膝枕って柔らかくて好きだからね。」


『!//』




カァア…と顔を赤面させている葵の首の後ろに手を回し、ぐいっと引き寄せて軽い口付けを交わす。




『ん……』


「ごちそうさま。」



ニヤリと笑う恭弥君に黙って目線を外すしか無かった。は、恥ずかしすぎて!!



くすくすと笑っている恭弥君にう〜っと唸っていると不意に耳に入ってきた騒がしい声。




『?』



誰?
確か恭弥君が風紀員に人を追い払って貰ってるって言ってたけど……。
まさかその人?


同じ風紀員だが私は恭弥君と草壁君しかまともに話せない。
彼等以外の風紀員や人とは話せない……怖いから。
最初は草壁君も怖かった。…………色々と。



だけど彼の優しさに触れていく内に今では普通に草壁君と話せる。
寧ろ良く彼の後ろを借りてしまうぐらい、信頼している。
草壁君は私の事を妹のように可愛がってくれて優しい人だ。





その草壁君は今、恭弥君の変わりに並盛町の見回りに行ってくれている。だから向こうで騒いでいるのは風紀員の人。



恭弥君も騒ぎに気付いて不機嫌そうに顔を歪めて膝の上から頭を起こす。



「…うるさい」


『恭弥君?』


「葵、ちょっと行ってくるね。」




葵は人が苦手だしすぐに帰ってくるつもりだったから安全な此処に置いていこうと頭を一撫でして騒ぎがある方に行こうとする。しかし眉を下げてこちらを見遣る葵の姿を見てしまった…。






「………来る?」


『!うん…!』



数少ない葵の笑顔。葵が笑うと彼女の周りに優しい空気が流れる。




「桜…」

『え?』


「なんでもないよ。」




手を取り歩き出す。



さぁ、騒ぎを立てている奴らを咬み殺しに行こうか…。




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