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TITLE 11.彼の愛情表現。 『花見?』 「そ。明日行くから」 昔話も終わり、応接室でくつろいでいると思い出したように雲雀が言う。ソファーに座り紅茶を飲んでいる雲雀に書類を棚に入れて整理している葵。 そっか…花見かぁ…… 今が調度桜が綺麗だもんね… 書類を決められた棚に入れながら他人事に考えているとそれが彼に伝わったのか「君も行くんだよ」と付き加えられた。 『わ、私も?』 「当たり前でしょ。君と僕は恋人なんだから。」 恥ずかしげもなくあっさり言いのける雲雀。 そんなはっきり言われると照れてしまいます恭弥君…/// 『クフフ……そうですね、私も恭弥君と花見、したいです。』 「うん。明日、楽しみだね。」 私だけに見せてくれる恭弥君の笑顔。 嬉しそうに顔を緩めて暖かい視線で真っすぐ私を見詰める。 「それはそうと、その笑い方…本当に何とかならないの?」 『それ、前にも言ってましたね…。これは血筋……なんでしょうか?』 前に初めて彼の前で笑った時も言われた。 そんなに可笑しい笑い方かな?葵は彼を背に苦笑いで返すと何それ、と軽く笑われ後ろからギシッと軋む音が聞こえたかと思うと腰に腕を廻されて後ろから抱きすくめられる。 『恭弥君?』 名前を呼んでどうしたの?と聞く。 返事の変わりに包帯を巻いていない方の私の頬に恭弥君の頬がピトッとくっつき、そのままチュッと軽いキスが一つ降る。 くすぐったくて身をよじるがそれも許さないようで腰に廻された腕は強まる。 そのまま唇が首筋をススッと伝い、チロリと舐めた。 『っ……』 ハァッと甘い吐息にぞっと背筋が強張る。 これは彼の愛情表現の仕方だ。こうやって首筋を舐めてそこに…… 『んっ……』 咬みつく。 咬みつくって言っても強いものではなく甘噛みに近い。 まるで犬か猫が飼い主に甘える時のように手を甘く噛むみたいに…。 咬みつき赤くなった所を最後にペロリと舐めて必ず彼は、 「葵、好きだよ」 と言ってくれる。 だから私も、 『私も恭弥君が大好きっ!』 って、笑顔で言うの。 交わされる唇と唇。恭弥君だけに許された行為。私だけに許された恭弥君との行為。 首筋に朱い華を散らせて……。 ―END― |