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7.信じるのを辞めた日。





目を覚ましたら見知らぬ天井。ここ三週間、ろくに寝ていないし食べていなかった。寝てしまえばいつ彼らマフィアに捕まるか分からないし食べ物はジャッポーネのお金が無いから買えない。


それを加えて身体は彼らに傷つけられボロボロ。死なないように撃たれた銃弾が何発も身体を擦れて血を流す。
何も口にしていない身体は血を造る事が出来ず、ただ身体から血が流れ出るだけ。
かなり貧弱していた。




数週間前の事を思い出していると、横から声を掛けられ目線をやる。
自分と同じぐらいの年の男の子が椅子に座ってこちらを見ていた。





だれ…?私、捕まっちゃったの?誰に?………マフィアに…?



慌てて身体を起こして逃げなきゃ、と動かすが力が入らず逆に頭が痛くて動けない。
その光景を見ていた男の子が栄養失調と寝不足によるものだからすぐには起きれないと聞かされる。




っどうしよう…!
マフィアに捕まったのならどうにかしてでも逃げなきゃいけないッ!!



男の子を気にかけながら目だけ動かして周りを見渡す。
それに気が付いた男の子からスーツを着た奴らは自分が倒したと聞かされ、最初は何を言って?と思っていたが私が気を失う寸前の事がフラッシュバックして思い出す。



そうだ…この男の子、変な棒みたいな武器を出してあのマフィア達を倒したんだ…。
あのマフィア達の強さは弱くはなかったが強くもなかった。
しかしマフィアはマフィア。一般人がマフィアを倒せる筈がない…ッ!!だとすると、彼等とは違ったファミリーのマフィアが私を狙いに?



そう問えば不機嫌そうに眉間に皺を寄せ違う、と否定された。


その睨みにびくっと身体が震えた。
するとすぐに彼の眉間から力が抜け皺が消える。



『じゃ、じゃあ…どうし……て…知らない私を助けたの?』




尚も疑う私。
だって人間は平気で嘘をつく醜い生き物だもの。それが友達だろうが親戚だろうが………家族だろうが…。
平気で人は嘘をつく。
私はそれを何度も見てきた。上辺だけの偽りの言葉。思ってもいない気持ちの言葉。




言葉は人を傷付ける。




だから私は人を信じるのが怖くなった。
自分が傷付いて汚れていく事が怖かったから。
兄に裏切られた時の傷は、忘れることの無い痛み。


人は皆、醜い自分を隠して仮面とゆう皮を被って生きている。自分の為なら平気で人を裏切る生き物…。



だから止めたの。




人を信じる事を。
信じて裏切られるのは…………もう、ごめんですから…。
貴方だって、そうなんでしょ。皮を被って理工に生きているんでしょ。
そう想いながら見つめていると今まで無表情だった彼は口角をふっと吊り上げる。





「…そうだな。君のことを知りたくなった、気に入ったって言ったら?」


『え…?』




すくっと椅子から立ち上がり私の居るベットに近付いてくる男の子。


―…人が……近付いてくる…っ





『!やっ…!!』



起き上がれない身体を後ろにある壁まで後ずさる。人間不信な身体はガタガタと震える。
嫌っ……お願いだから来ないで…っ!!
私に、近付かないでッ!!!



恐怖でギュッと目をつぶる。
………………?
暫くしても身体が触れられた感覚はない…。
恐る恐る閉じた瞼を開けると近付こうとしていた彼は先程の位置から二歩しか進んでいない。
疑問に思っていると、




「とにかく、服、此処に置いておくから着替えなよ。その汚い服じゃ僕のベットが汚れる。」






言われて自分の着ているワンピースを見る。白かったワンピースは血と泥により彼の言った通り酷い汚れようだ…。
ワンピースの汚れを見ていると身体の至る所に負かれた包帯やガーゼ…。それに心なしか身体が綺麗になっている…?

ベットの近くにある机の上に置かれている物に目がいく。
それは救急箱。
まさか…彼が?




『これ…あなたが……やって…くれたの?』


「………」




確信を得る為に聞く。
が、彼はプイッと顔を背けてしまう。





「……僕は一旦部屋から出るから…10分したら戻ってくる。その間に着替えといてね…」




そう言って、部屋の扉を開けて出て行こうとする彼に考えるよりも先に、口が動いていた。






『…あ、りが…とう…』




小さくて消えてしまいそうな御礼の言葉。
けど、彼には届いていた…。






「………僕が好きでやった事だ。君に礼を言われるような事はしていないよ…。」





そう言い残し今度こそ彼は自室を出ていった。





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(少しだけ…手当された場所が暖かく感じた…)





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