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3.追われた身。




「オイ!女はいたか!?」



「いえ、こっちには居ませんでした!!」



「チッ!女でまだ餓鬼だ!そう遠くには逃げてないはずだ!!なんとしてでも見つけ出せ!!!!」


「「「はっ!」」」





橋の上で話すスーツを来た四人の大人の男達。
その橋の下には白いワンピースを着て身を屈めて小さく震えている少女。彼等が探している少女だった。






『……………もぅ、行ったかな?』




あの実験所の一件があった後、私はジャポッーネに逃げてきた…。
イタリアには……居たくなかった。
マフィアやお兄ちゃん………骸がいるイタリアには………。




「お兄ちゃんお兄ちゃんて、うざいんですよ」





『――――っ!!!』




あの日言われた事を思い出して目が熱くなる。
何度も数え切れないほど涙を流したのに……どうして枯れないのかな?





たった一人の家族だと思ってた……
ましてや私とお兄ちゃ………骸、は双子だった。二人で一つ。
たった一人の肉親だと…………そう思っていたのに…っ!







『嘘つき……』






『皆、嘘つきだよ……』




体育座りしたまま傷だらけの身体を抱きしめる。震えが止まらない。





―人間なんて……






「居たぞ!!!」



『!!』




痛む身体を起こして逃げる。後ろから追い掛けてくる四人のマフィア。




捕まったらまたあの過酷な日々に逆戻り…そんなの嫌だ!!



必死裸足で血だらけの足を動かして走る。







― 人間なんて、マフィアなんて………






大ッ嫌い… ―









『ハァ……ハァ……!』



「待て!この餓鬼!!」





街中まで逃げ込んでもなお付いてくる奴ら。
当たり前よね…。



考え事しながら走っていたせいか逃げ道を間違えてしまったらしい。




目の前にあるのは逃げ道を無くした壁。
そして後ろは少女を囲むようにして道を塞いでいるマフィアの姿。
人間、マフィア、嫌、嫌ッ!怖いっ!!!!
人間不信となってしまった私の身体は人を拒絶する。人間に恐怖を感じて震え出す身体は止まらない。





「やっと追い詰めたぜ!!散々逃げやがって!オラ!こっちに来い!」





目の前にいた男が私の腕を強く掴んで引き寄せようとする。




『ッ!!!や、やだぁ!!』



イタリアに連れていかれる、とゆう恐怖より、今の私には人に触れられている事の恐怖の方が強かった。




嫌!嫌!お願いだから離して!!嫌だッ!!!!!



ボロボロと左目から流れてくる涙。



怖いよ…!誰か、誰か助けてッ!!!!




来るはずのない助けを求めてしまうほど今は恐怖心が強かった。







だけど、貴方は来てくれた……





「ねぇ、何してるの?」










今でも覚えているあの時の貴方の顔、貴方の姿。




私に信じる強さを教えてくれた。




私に温もりをくれた。




私に居場所をくれた貴方。






沢山、貴方から大切なものを貰えたの。
















ありがとう……恭弥くん…





― END ―



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